のしかかる窒息しそうな日々に空気穴を通してくれるような作品
- ★★★ Excellent!!!
ほっとして、前向きになる読後感。
疲弊して儀式的に食べる食事、月の裏側、突然現れる女子高生、古典を読むこと。
心が疲れてしまうと視野狭窄に陥りますが、それをぶわっと広げてくれるような話です。
疲れているのに、自分を疲れさせることばかりに思考がいってしまうけれど、そうじゃない世界もちゃんと存在している。
過去でも、作品世界でも、幻想的な空想でも思考は自由でどこにいても構わないのです。
「延期する」は一見ネガティブワードですが、それを反転させて魅力的なセリフとして使っている綺麗な筆致の作品です。