甘くて可愛らしくて精巧なケーキのような、非テンプレな転生ファンタジー!

いわゆる転生ものには明るくない私ですが、転生もののテンプレといえば、異世界に転生した主人公の視点で、チート能力で無双したり成り上がったりするストーリーを語るというものでしょう。
でも、本作の語り手は転生した本人、アリサではなく、アリサの幼なじみである異世界の少年、カイです。
しかもアリサはチート能力もそなえていなければ無双も成り上がりもせず、むしろ前世の記憶のせいでまわりから「変わり者」と思われ、孤独感や疎外感を覚えています。
その設定がまず新鮮で、引きこまれてしまいます。
魔法や神様の設定も、丹念に練られていることがよくわかります。

相思相愛の二人ですが、身分違いであることとカイの鈍感さ(すみません……!)が災いし、なかなか友人以上の関係になることができません。
この二人の微笑ましさと初々しさが、まず本作の見所のひとつ。
加えて、タグにもあるとおりミステリー要素も強く、伏線も秀逸です。
事件の黒幕にはビックリしましたし、「あっ、あのときのあれにはああいう意味が……!」と何度も膝を打ちました。
事件の真相が明らかになっても、今度はアリサの転生にまつわる意外な事実が明かされ、最後まで驚きが止まりません。いえ、本当に、まさか○○○が○○○だったなんて……!
読後感もさわやかであたたかく、ほっこり幸せな気持ちになりました。年の差恋愛の好きな私ですが、ピュアな少年少女もやはり良いものです……!

甘くて可愛らしくて精巧なケーキのような、テンプレじゃない転生恋愛ミステリファンタジー、あなたもひとくち……いえいえ、ひとくちだなんてとんでもない、ぜひ全部味わってください。

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