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概要
最後まで話を聞いた者は、ひとりもいなかった。あの秋までは。
二十一の秋、カクは紙の上で暮らしていた。
人間が読み終えて積んでおく新聞の、細かい数字がびっしり並んだ頁。
字はだれにも教わらず、十年かけて読めるようになった。
「明日、この数字は上がる。絶対だ」
夜には町の者を集めて、数字の話をした。
「聞いてるか」
話は、いつも途中で終わった。
ある日、坂の下の用水路のわきで、眼鏡のつるが折れた若者を拾った。
北の村から仲間と出てきて、はぐれたのだという。
「名前は」
「ダン」
『8センチメートル』のカク爺の、六十年あまり前の話。
(全九話・完結済み)
シリーズの六作目です。一作目は『8センチメートル』。
人間が読み終えて積んでおく新聞の、細かい数字がびっしり並んだ頁。
字はだれにも教わらず、十年かけて読めるようになった。
「明日、この数字は上がる。絶対だ」
夜には町の者を集めて、数字の話をした。
「聞いてるか」
話は、いつも途中で終わった。
ある日、坂の下の用水路のわきで、眼鏡のつるが折れた若者を拾った。
北の村から仲間と出てきて、はぐれたのだという。
「名前は」
「ダン」
『8センチメートル』のカク爺の、六十年あまり前の話。
(全九話・完結済み)
シリーズの六作目です。一作目は『8センチメートル』。
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