その後、食べてみたいと主張するフィルの説得にアレックスが難儀したことは言うまでもなく――。
「どこからどう見ても怪しいものを食べようという発想がまずおかしくないか……」
「!? 怪しくないですっ、こんなにカッコいいのにっ」
「……キノコにカッコいいも悪いもないだろう」
「ちょっとずつ、ちょっとずつ食べますから!」
「量の問題じゃない」
「!? 捨てようとしてる!!」
「……」
苦労人です、涙してやってください。
泣いても笑っても涙って出るよね、とこっそり呟いてもみる。
今回出てきたレメントは、過去編【交差】に出てきた二匹と同種。
古代王国を滅ぼしたという伝説の残る生き物で、ネル&メルは黒でしたが、毛の色はその他今回の子の銀、白、茶、赤、色々です。
フィルとアレックスがそんなレメントを怖がらないのは、悪意のない相手をむやみに傷つけることはないと知っているから。
ポトマックが怖がらないのは、子レメントにやられる技量ではないから←未だに騎士団で一番強い人。
フェルドリックが怖がらないのは……まあ、ああいう性格と生い立ちなので、そもそも死自体怖くないという……これまた難儀な人です。
レメントが人に与える十字の傷についての番外編もあるので、また機会があれば。
次回は新章、アレックスの異動とカイトの話になります。
ではまた。
昨夕、遠くで夕立雲が発生しているのを見つけました。雲から地表に雨が落ちていくのを見るの、なんか好き。
ジャングルだと出迎えるみたいに樹冠から霧みたいなのが立ち上るのが見えたり、砂漠だと途中で消えてなくなるのが見えたりして面白いのですが、昨日は虹の欠片が見えました。青い空にかかる虹もいいけど、黒い雲にこそ映えるのかもしれない、とちょっと得した気分です。
今日も何かおもしろい発見があるといいな&画面のそちら側のあなたにも楽しいことのある日でありますように!