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第93話 目論見

 三人の特にショウくんの行動にはご批判があろうと承知しておりますが、卑劣な襲撃犯を魔物と見做すのは、非人間化による一時的な道徳的離脱で深刻な精神の負担を乗り越えようとする一般的なメカニズムであり、心理的な防衛反応です。遺品の扱いに関しては、社会的な防衛反応となります。

 第41話でクンディ様から「町の外で襲われたら撃退して良い」と告げられていますし第73話で「赤い棘」が武具や所持金を得る行為を見ているからです。時空魔術による証拠隠滅に関しても、無罪となる確信が持てず襲撃犯の背後関係が不明なことから、止むを得ない行動だと思います。

 リコヤン兄弟の本当の手下は縄を持った大柄な魔物狩2人だけ。兄弟の目論見としては、次はリカだけに服を脱ぐことを命じ、モモの暴発を誘って【獣化】を発動させ、残りの連中の命を犠牲にしてでも「獣化切れ」を待ってモモを捕縛・投薬して人質とし、リカの抵抗も封じるというもの。

 肉体派の下衆に有り勝ちですが、色男であるショウくんは無力な人質と思っています。縄尻を持つ者3人が生き残れば上出来、最悪自分らだけでも、と考えていたクズ・オブ・ザ・クズでございます。あとはヴェイザの協力者と連絡を取り、今日か明日に馬車を仕立てて悠々と去る予定でした。

 兄弟が今年ヴェイザに現れたのは三人が転生した前日。組合には顔を出していません。襲う魔狩隊や攫う女などを物色していました。実は女性を手籠めにして売り払う「散花師」として知る人ぞ知る存在で、出禁にされた逆恨みからブロストマ姐さまを、そしてフリゾルさんも狙っていました。

6件のコメント

  • なるほど、襲撃者側にはこのような背景があったのですね。
    いっそ清々しいと言いましょうか(^^;
    見事なまでに下衆い考えで連携(?)していたのですね。
    三人が無事で本当によかったです。
  • 桐原コウさま
     完全にワルモノでございました。そして、これ程の準備が出来るということは……背後関係も存在するのかもしれません。
  • 想像以上に凶悪な相手だったのですね!
    リカちゃんたちが見つけた薬も、やっぱりモモちゃんを狙っての物だったんだ!許せない!
    リコヤン兄弟の悪名は何度も聞こえていましたが、「散花師」ってそういう!?全女性の敵ですね。
    一時的な道徳的離脱、という言葉が重く、興味深くもあります。どんな人にも起こり得ることですね。
  • 佐子 八万季さま
     そうです、凶悪極まりない人類の敵でした。そして彼奴等には恐らく後ろ盾が。三人が再び巻き込まれないと良いのですが。
     一時的な道徳離脱は普遍的な反応だと思います。無論のこと過剰な正当防衛は許されませんが、17世紀相当の世界では、そんなことは言っていられない、と考えて敢えて描写させていただきました。
  • 時代背景、環境により、人のとる行動は変わってしまう。それは事実ですね。
    そうでした。獣人殺し、なる恐ろしいものがあったのですよね。これ、登場は今回の話だけで終わってくれるといいのですが…。
  • 苗田はな様
     現代日本の倫理観が何故か通用する世界とした方が読者様には安心でしょうし商業にも有利でしょう。わたくしの世界はこれでも相当に配慮しているつもりでございます。
     「獣人殺し(Ossiconisicarii)」は【獣化】を止めるホルモン様物質に類似していて強制的に「獣化切れ」を起こす薬物で、深刻な副反応を伴います。じ、獣人はモモだけではないので!
     
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