本文の通り「英国のパブリックスクールであるイートン校ハーロー校とのクリケット対抗戦で19世紀から供されてきた」という気軽なお菓子です。当初は苺と生クリームかアイスクリームを合わせただけで、メレンゲが入るようになったのは早くても1930年代以降で、恐らくは戦後です。
メス(mess)は古仏語の「置かれた食事」でラテン語のmittere(置く、投げ入れる)の過去分詞missusが語源です。これが「同卓で食事する人たち」→「混ぜた食事」→「混ぜ込んだ状態」と変化したようです。スラングに近い使い方をされることが多い、あまり上品な言葉ではありません。
レンバス(lembas)はJ.R.R.トールキン『指輪物語』に登場するエルフの行糧で、単なる薄焼き菓子ではなく、特別な穀物と製法で作られる聖物。「wafer of lembas」とも表記され、waferの語源は「蜂巣」で(そのためウエハースが蜂巣状の模様)「聖餅」をも指しますので特別な食物と分かります。
一方のクラム(cram)は人間が作る行糧。長期保存が可能でも腹が膨れるだけで不味いと描写されていますので、味気ないものなのでしょう。『ホビットの冒険』では「たらふく」という訳語でしたが、19世紀英国のスラングで「詰め込み勉強」の意味も。従軍経験のある大学教授らしい言葉の選び方と感じます。
AI画像は「透漆(すきうるし)塗りの木椀に盛られた混ぜ込み苺(イートン・メス)」と「菊紋が彫られた砂魔術硝子製のティーカップに注がれた茨華実茶(ローズヒップティー)」。カップの持ち手とソーサーは木製の透漆塗り。森人は貴金属の食器を好まない設定です。
