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第127話 イートン・メス、レンバスとクラム(捕:次回更新は11/3(祝)です)

 本文の通り「英国のパブリックスクールであるイートン校ハーロー校とのクリケット対抗戦で19世紀から供されてきた」という気軽なお菓子です。当初は苺と生クリームかアイスクリームを合わせただけで、メレンゲが入るようになったのは早くても1930年代以降で、恐らくは戦後です。

 メス(mess)は古仏語の「置かれた食事」でラテン語のmittere(置く、投げ入れる)の過去分詞missusが語源です。これが「同卓で食事する人たち」→「混ぜた食事」→「混ぜ込んだ状態」と変化したようです。スラングに近い使い方をされることが多い、あまり上品な言葉ではありません。

 レンバス(lembas)はJ.R.R.トールキン『指輪物語』に登場するエルフの行糧で、単なる薄焼き菓子ではなく、特別な穀物と製法で作られる聖物。「wafer of lembas」とも表記され、waferの語源は「蜂巣」で(そのためウエハースが蜂巣状の模様)「聖餅」をも指しますので特別な食物と分かります。

 一方のクラム(cram)は人間が作る行糧。長期保存が可能でも腹が膨れるだけで不味いと描写されていますので、味気ないものなのでしょう。『ホビットの冒険』では「たらふく」という訳語でしたが、19世紀英国のスラングで「詰め込み勉強」の意味も。従軍経験のある大学教授らしい言葉の選び方と感じます。

 AI画像は「透漆(すきうるし)塗りの木椀に盛られた混ぜ込み苺(イートン・メス)」と「菊紋が彫られた砂魔術硝子製のティーカップに注がれた茨華実茶(ローズヒップティー)」。カップの持ち手とソーサーは木製の透漆塗り。森人は貴金属の食器を好まない設定です。

6件のコメント

  • 森人は貴金属の食器を好まない、という背景にも、世界観が光りますね!
    あまりに美味しそうな画像に久しぶりにローズヒップが飲みたくなります。
  • 苗田はな様
     森人には金銀宝石は似合わないと考えました。砂魔術で硝子や水晶が作れるので、漆塗りの木と組み合わせてキラキラではあります!
  • わ、ウエハース今食べてました!蜂巣からきているんですねぇ!
    近代イギリス文学大好きなので、英国パブリックスクールというのは、ちらりと聞くだけでもすごく親近感が湧きます。イートン・メスとは初めて聞きましたが、おいしそう!あわゆき羹のような食感を想像しましたけど、画像を見ると、もっとフレッシュなデザートみたいですね。食器も素敵!
    こちらを楽しく読んで、たくさんの知識を得ていること感謝いたします!
  • 佐子 八万季さま
     おお、ウエハースを食されていたとは何という偶然でしょうか! メレンゲの部分は淡雪羹に似ていると思います。生クリームやアイス、そして苺が基本ですが季節の果物でも美味しくいただけます。桃とかマンゴーとか柿に合わせたりしています。

     食器も素敵と言っていただけて嬉しいです。砂魔術で硝子や水晶にして漆塗りの木を組み合わせるのが、ウィラルテの森人スタイルなのです。これからも読んで為になる物語を目指します!?
  • 金銀製ではなくて、木製(と砂魔術によるガラス製)の食器を使うのが、『森人』という語感からも連想出来て素敵ですね!
    あ、ちなみにガラスで連想したのですが、砂魔術によるものではなくて、人の手で作りだすガラスも存在しているのですかね?
    と、すみません、ふと疑問に思ってしまいました。
  • 桐原コウ様
     はい、普人は「17世紀レベルの硝子を作って砂魔術士が修正」ですが、鉱人は魔法に依らずに第四段階砂魔術士レベルの均一な硝子細工を作れます!
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