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第120話 魔術士の希少性(捕:グラフェル男爵家後継、次回更新予定)

 毎年10歳から14歳の子が4~5人入ってきて読み書きから教える、という学校の運営はとっても難しそうです。しかも15歳を超えたら原則として働かなくてはいけませんから。第一段階で止まる半数の子は、食い扶持には困らないとは言え、立身出世というには微妙かもしれません。

 普人の杖使いは約1%ですが、その半数は第一段階止まり。約三割が第二止まりで第三以上に達するのは約二割。そして第五以上は素質者の僅か1%(森人は第三以上が半数くらい)。転生者の上限だった第五段階は、同年齢では全国トップレベルという意味でした。リカが能力を隠したのは大正解でしょう。

 従って普人で第三段階の魔術士となれば、平民でも貴族どころか帝国軍の魔法隊に入れますし、貴族のお抱えにもなります。中には貴族子弟に見初められて、その子供は貴族籍となることも。逆に弱小新興男爵グラフェル家は不人気で、四元素の魔術士を揃えるという不文律を満たすのも難しいくらい。

エズム(Æðm)
 古英語で「吐く息」。クンディ様の弟でグラフェル男爵家後継ぎ。ノルド派遣軍に加わっている(グラフェル家は衛兵拾隊とエズム、男爵家唯一の風魔術士などが参加)。風魔術は第二段階で止まる。杖使いの花嫁を連れ帰ることができなければ、領内の郷士家の娘と結婚すると思われる。

ウィッダル地方(Widdal)
 古ザクセン語で「広い峡谷」。widはwide語源、dalはdale語源。ノルド地方の西隣、ヴェイザ直轄領とグラフェル男爵領などに隣接する地方。広々とした峡谷の南部は麦類、森を開拓した北部は亜麻作地帯。初代男爵ハルドステン(Hardsten)は同じく古ザクセン語の「硬い(hard)石(stone)」。

※次回の更新は、10/10(土)を予定しています。

6件のコメント

  • 前の返信で寺子屋が出てきて、あっそうか!と膝を打ちました。ああいった仕組みもよくできたものですよねえ。西洋だと教会が似たような役割を果たしていたのですかね。
    ところで、古ザクセン語というのは、ドイツ語とはまた違うのでしょうか。国だったのは何となく知ってるのですが、独自の言語があったということ?自分でも調べてみます!
  • 佐子 八万季さま
     お寺が学校兼役所となることで教育の場を提供できましたが、人別帳で村人を管理しますから、恨みも買う場合もあったようです。生臭坊主だといろいろと……。西欧の教会と修道院も、一長一短だったのではないかと想像しています。

     お調べになったと思いますが、古ザクセン語は古英語の系統ですね。デンマーク王家傍流のホルシュタイン家をウィッダル地方を纏める伯爵名に当てた関係で採用しました! ホルシュタインは牛のホルスタインですが、意味はなんと「森の開拓者」です。
  • 教えていただき、ありがとうございます!
    古英語の系統!また勉強になりました。
    ホルシュタイン、かっこいいですねぇ。中学校の英語の先生でめちゃくちゃ豊満で胸のでかい色っぽい方がいて、男子が陰でホルスタインと呼んでいたのを思い出しました🐮モー。
  • グラフェル家が不人気…。クンディ様が良い人なだけに、世知辛さを感じますが、色々な状況設定がご都合主義ではなくて理詰めで設定されているリアリティさ、凄く好きです。
  • 佐子 八万季さま
     普人の伯爵家以上は、欧州の王家や支配者の家名を捩っています。ノルド地方を纏める伯爵はボルヴォ家ですが、ブルボン朝からです。なんとケルト語で「温泉(の神)」。

     豊満女性にホルスタイン。男の子はこういう綽名をつけて喜びますよねえ……エロ・シモ好きの地球人類には困ったものです(!?)
  • 雨包おん様
     普人男爵家は平均50村を統治するので、男爵家としては最小の34村しかないグラフェルは弱小で人気がないのです。でもショウくんたちの叡智で、豊かになっていきます。一番大きいのは白油でも竹製家具でも緞通でもなく……どこかとの「縁」ですが!

     設定が理詰めでリアリティがあるといっていただけて、とても嬉しいです! 有難うございます!!
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