パニス・ドゥルキス(甘いパン)とその価格:
ハチミツを使ったパンで代表的なものとしては現在のチーズケーキの原型ともいわれるリブム(Libum)などがあるが、今回はもっと簡素なパニス・メリトゥス(蜂蜜を練りこんだ入れたパン)の方。
普通のパンが1個2アス、パニス・メッリトゥスが6~8アス、日雇い労働者の日当が16アス(1デナリウス)なので6アスは結構強気な価格設定。
現代人感覚だと高級食パンがイメージとして近い。
麦芽水あめの需要:
レシピにもよるが今回デキムスがパン屋に持ち込んだ量(10セクスタリウス)で作れるパンの量は精々70個程度。
パン1個を分割してばら売りしていたとしても最大供給量は580片程度。
中堅パン屋の1日のパン販売個数が400個前後と推測し、そのうちの10%程度が高級品、そのさらに30%をこのパンに置き換えたとして日次需要は12個(96片)と推測できる。
需要を満たす数を作る場合、デキムスが売った水あめの量では1週間も持たない。
新しもの好きのローマ人の性質を考慮すると即日で使い切っていた可能性すらある。
つまりパン屋1軒の需要に対してすら全然足りていないことが分かる。
なおパン屋の数から月間の需要を逆算すると、
パン屋1軒の月需要=12個×30日÷70個×10セクスタリウス≒丸めて約50セクスタリウス
ポンペイのパン屋の数(発掘調査の推測値)=30軒前後
全部のパン屋が高級パンも製造していたわけではないので採用率40%と見ると
50セクスタリウス×30軒×40%=600セクスタリウス
となる。もし量産効果で卸価格を下げれるようになって採用率が上がればパン屋需要だけで1500セクスタリウスも視野に入る。
そりゃパン屋からは毎日「全然足りねえじゃん!」って圧かけられますわ。
やばいね。