72話のtipsでも少し触れたとおり、史実ではダキアは深い山と森を活用し、ローマ軍を森や谷に誘い込んで得意の大鎌ファルクスで近接戦を強いてローマの重装歩兵を盾ごとカチ割るという頭の良いゴリラ的戦術でローマ軍をフルボッコにし、ドミさんの腹心である近衛隊長コルネリウス・フスクスを打ち取るわ、ローマ軍旗を奪うわなどの大暴れをして見せた。
しかしそれが可能だったのはダキア王国が統一されていたから。
西暦80年においては紀元前44年ごろに崩御したブレビスタ王以後、分割相続に起因する4~5つの部族による分裂状態が続いており、史実でドミティアヌスをフルボッコにしたダキア王デケバルス(80年当時はディウルパネウスという名だったと推測されている)の叔父であるドゥラス王がまさにダキア統一に王手をかけていた時期に当たる。
そのため史実ダキア王家の主力さえ撃破してしまえばあとはローマ軍お得意の『氏族を分断しての各個撃破』が通じるので、最終的に征服はほぼ確実に成功すると見込まれる。
が、同時に貧弱な街道と山岳、そして深い森というローマ軍が苦手な条件も満載だし、ダキアの大鎌戦術時代は分裂状態でも十分通じる(侵攻作戦なので)。
そのため、短期戦ではそれ相応の被害が出そうというのがトラヤヌスが予測した侵攻の予測となる。
(なおダキア同様に深い森を持つゲルマニアでもローマ軍は苦戦を強いられていたので、ダキアが特別ローマ軍にとって厄介な土地というわけではなく、インフラが貧弱な地域が苦手と言うのが正しい)