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君がいた季節の終わりに 二人で一つの価値をつくろうとした

63歳の彼がどうしようもなく出会ってしまった恋に戸惑った。
ありえないと言い聞かせながら、抑えきれなかった。

晩年の彼にとっては、はじめて素直に、二人で一つの価値を作り上げようとしたのだと思う。彼の人生ではなかったこと、逆にそれだけ相性が良かったのかも知れない。

どうしてそんなふうになったんだろう。今までそんなこと思ったこともなかったし、考えたこともなかったはずなのに、それが年齢の経験値だったのかも知れない。

驚くほど何かあるわけじゃなし、ただ、日々の日常の触れ合いだけ
深い仲になってもいつも彼女が喜ぶもの、できることと想い
一緒に花を育てたり、ニュースをつくったり・・
同じコーヒーカップを見て「これいいよね」のなにげない共感くらいだったけど
二人で一つの価値を作っている、築いていたと思い込んでいた。

でも振り返ると、二人で1つの価値をつくりあげたいとしたのは、彼だけで、彼女にとっては、単なる通過点でしかなかったということが、最後の別れの局面で露になった。彼の想いは全く届いてもいなかったことに気づかされた別れだった。

それは、どちらが悪いという話ではなかった。
ただ、見ていた景色が違っていただけだった。

彼女は、腕から時計を外すように去っていった。

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