世界を滅ぼせるほど強いのに、
ただ静かに暮らしたいだけの主人公がいる。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『ただ平穏にちょっと楽しく暮らしたい死霊魔導士の日常と非日常』
https://kakuyomu.jp/works/16816452219748981478タイトルから分かる通り、この作品は平穏を望む主人公の日常系異世界ファンタジーである。
ただし、その「平穏」はあまり実現しない。
主人公はチート級の力を持つリッチー。
本来なら世界をひっくり返すこともできそうな存在だ。
しかし本人はただ、静かに、少し楽しく暮らしたいだけ。
ところが周囲はそうさせてくれない。
理不尽な依頼や面倒ごとが次々と舞い込んでくる。
そして主人公は毎回「やれやれ」と言いながらも、結局それを引き受けてしまう。
しかも大抵は期待以上の成果で。
その結果、さらに面倒ごとが増えていく。
この繰り返しが、この作品の基本的な構図になっている。
この構図をどう受け止めるかで、作品の印象はかなり変わると思う。
例えば、次々と寄ってくる猫に囲まれて困りながらも、結局面倒を見てしまう人のような光景として読むこともできる。
超越的な力を持ちながらも、怒りで世界をねじ伏せることはしない。
淡々と状況を受け止め、誠実に対応していく。
その姿には、精神的に達観した余裕があり、独特の味わいがある。
ただし、この構図は人によっては引っかかるかもしれない。
理不尽な相手に振り回され、便利に使われているように見える場面もあるからだ。
本作には、誤解を一気に解いてスカッとさせるような「ざまあ」展開はほとんどない。
主人公は強く糾弾することもなく、あくまで達観した立場から状況を受け止めてしまう。
作者の前書きでも触れられているが、この作品は「サポート系主人公」の物語でもある。
主人公が表舞台で名声を得るというより、裏から状況を整え、人を助けていく立ち位置なのだ。
そのため、爽快なカタルシスを求めて読むと、ややもどかしく感じる人もいるだろう。
とはいえ、この作品の面白さはむしろそこにある。
超越者が力で世界をねじ伏せるのではなく、
怒りで状況を変えるわけでもなく、
ただ静かに、淡々と世界と付き合っていく。
この“達観した主人公”の空気感が、この物語の独特の味わいになっている。
私のおすすめレビューでは☆2をつけている。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219748981478/reviews/822139844759670162作品の個性はとても面白いのだが、爽快感の弱さや構図の好みは分かれると感じたためだ。
ただ、この静かな雰囲気が合う人には、じわじわと面白く感じられるタイプの作品だと思う。
最強主人公でも無双しない物語や、裏から世界を動かすサポート型主人公が好きな人には、十分おすすめできるはずだ。
ランキング巡回をしていると、こういう少し毛色の違う作品にも出会う。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。