外れスキル作品は多い。
だが「なぜそれが外れと判断されたのか」に納得できる作品は、意外と少ない。
今日もランキングを巡回する。
面白い作品を探しているというより、納得できる物語を探しているのかもしれない。
今回選んだ作品はこちら。
『ハズレスキル「小箱」 〜異世界でも四畳半あれば生きていける〜』
https://kakuyomu.jp/works/822139846234329769よくある“外れスキル”作品である。
「小箱」というスキルがどう活かされるのか気になり、読んでみた。
主人公は七歳のときに受けた「祝福の儀」でスキル「小箱」を授かる。
男爵家に求められるのは武力スキルだが、このスキルは名前からしてよく分からない。
そのため家族から冷遇され、主人公は家を離れて冒険者として自立しようとする。
いわゆる「外れスキル→追放→成り上がり」という王道テンプレの導入だ。
ただ、読んでいてどうしても引っかかった点がある。
この男爵家、実は全員が武力スキル持ちだ。
長男は弓術、長女は風魔法、次男は盾術、四男は土魔法、五男は剣術、次女は水魔法。
その中で三男の主人公だけが、誰も聞いたことのないスキル「小箱」。
ここで考えて欲しい。
ありふれたスキルならまだ分かる。だが未知のスキルだ。
まず、どんなスキルなのか検証しないだろうか。
しかも貧乏男爵家であれば、どんなスキルでも活用できないか試すだろう。
それがまったく行われていない点に、どうしても違和感が残った。
実際、主人公が少し使っただけで「小箱」はすぐ便利な能力だと分かっていく。
いわゆる空間魔法に近い能力だ。外れスキルなわけがない。
だからこそ余計に思ってしまう。
なぜ家族はそれを試そうとすらしなかったのか、と。
テンプレ展開自体は好きだ。
だからこそ、その導入には納得できる理由が欲しくなる。
テンポよく追放展開に入るため、あえて検証過程を省略しているのだと思うが、テンポを優先するあまり登場人物の行動が不自然に見えてしまうと、どうしても引っかかってしまう。
外れスキルものは“誤認”が前提構造になっているものが多い。
その誤認を成立させる設計が甘いと物語が簡単に崩れてしまう。
評価が高くても、好みに合うかどうかは読んでみないと分からない。
やはり自分は、都合の良さよりも納得感を優先したい。
とはいえ、テンプレ展開を素直に楽しみたい読者には問題ないかもしれない。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。