現代ファンタジーでは、非日常が現実の社会に落とし込まれる。
だからこそ、その世界がどのように動くのかを考えてしまう。
カクヨムでは、面白いと感じた作品におすすめレビューを書いている。
ただしレビューは「おすすめ」が前提のため、批判的な内容はあまり書かないようにしている。
その代わり、ランキング巡回で読んだ作品の率直な感想を、近況ノートに「ランキング巡回ログ」として残していこうと思う。
今日のランキング巡回で開いたのはこちらの作品。
『Fランク「鑑定士」の俺、ゴミ捨て場の「錆びた剣」が聖剣だと気づいてネットオークションに出品したら、宝くじ並みの値段で落札された件
~ボロアパートから始まる、鑑定スキルでの現代成り上がりライフ~』
https://kakuyomu.jp/works/822139845194728763パーティーを追放された主人公が、廃棄物置き場で拾った剣を鑑定すると、それが聖剣だと判明する。
ネットオークションに出品した結果、なんと15億円で落札される。
いわゆる「鑑定スキルで成り上がる」タイプの現代ファンタジーだ。
鑑定スキルで価値を見抜くという構造自体は分かりやすく、テンポも良い。
だからこそ、現代社会との整合性のズレが気になった。
例えば、ネットオークションで15億円の取引が発生した場合。
現代設定では、大きな金の流れがあれば、それに伴う社会の反応を読者は想像してしまう。
税金や手数料といった制度上の問題だけでなく、これだけ大きな取引なら、売り手や買い手の身元、商品の正体などにも社会的な関心が向くはずだ。
現代社会は、そうした監視や制度の積み重ねで成立している。
異世界であれば「そういう世界」で済ませられる部分も、
現代を舞台にした瞬間、読者は自分の知る社会構造と照らし合わせてしまう。
だからこそ本作では、
「15億円が動く」という事実に対して、
社会側の反作用があまり見えなかった点が少し気になった。
本作でも聖剣が落札された後、まるで何事もなかったかのように15億円が振り込まれる。
作中では身バレを警戒する一方で、リスクに対する行動の整合性が少し気になった。
もちろん物語のテンポを考えれば、細かい社会の仕組みは省略したいのだろう。
それは理解できる。
ただ、現実を舞台にしている以上、こうした部分の説得力は作品全体の印象に大きく影響する。
個人的にはいくつかの場面で設定の甘さが気になり、途中で読むのをやめてしまった。
現代設定では、都合の良さは“ご都合”として露骨に見えてしまう。
ただし、現代ファンタジーでの成り上がり展開や、テンポの良いサクセスストーリーを楽しみたい人には向いている作品だと思う。
ランキングに載っている作品は、きっと誰かにとっての「当たり」だと思う。
ただ、それが自分にとっての当たりとは限らない。
評価が高くても、好みに合うかどうかは読んでみないと分からない。
ランキング巡回とは、自分にとっての当たりを探す作業でもある。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。