折角、見目麗しゅう系女子高生キャラを出しているのに、容姿の描写を一切しない作家がいるようです。
私です。
いえいえ、忘れていたわけではありません。
この短編のために取っておいたネタなんですよ。
この短編の書き出しでは、写実描写を意識して、丁寧にバターを練っている美少女の姿を描いています。
そして、掲題のセリフ。
「お嬢、今日は何を作っているのですか?」
ここで初めて、その美少女が雨垂乙葉であると開示されます。
そう。
叙述トリックというやつです。
……本当ですよ?
『お嬢、政略結婚のお便りです。』では、これまで乙葉の容姿について、意図的にほとんど触れてきませんでした。
身なりや仕草、周囲からの扱われ方は書く。
けれど、「どんな顔をしているのか」「どんな体格なのか」は妙に書かない。
そのあたりを、今回の短編では少し使います。
本編を先に読んでいる方には、
「ああ、乙葉ってこういう外見だったのか」
と思っていただければ。
そしてたぶん、
「お前、そのために今まで書かなかったのか」
とも思っていただければ。
はい。
そのためです。
……ということにしておきます。
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上でも少し触れましたが、今回は一部で写実的な描写を使っています。
はい。
勝手に師匠と思っている川上稔氏の技法です。
映画のカメラワークのように、まず引きの絵を置いて、そこから徐々に対象へフォーカスしていく。
そんな表現を目指しています。
めちゃくちゃ難しいんですが。
なお、写実描画主義については、カクヨム内で川上稔氏ご本人が詳しく解説されています。
非常に勉強になります。
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視点の話。
今回の視点は、征士が主となっています。
ええ。
この面倒くさい男が、乙葉のことをどのように見ているのか。
かなり赤裸々になっています。
ですが独白の筈なのに本当の気持ちを語らないし、平然と自分に建前を使う。
面倒くさい奴ですね。
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口調の話。
これまで本編をご覧いただいた方は、キャラクターの口調について、いくつか疑問に思ったところがあるかもしれません。
恐らく、
「乙葉の口調が二つある」
も、その一つです。
本作の中で征士が言っているとおり、乙葉は普段、丁寧な言葉遣いをするよう躾けられています。
しかしながら、まだ十七歳。
ちょっと心の余裕がなくなると、簡単にメッキが剥げます。
考え事や作業に意識を取られているとき。
想い人から不意打ちを受けたとき――など。
もし読み返していただける機会がありましたら、そのあたりを意識して見ていただけると、
「ああ!」
となる仕込みが、あるかもしれません。
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口調の話、その二。
もう一つ。
こちらは本編での開示がかなり先になりそうなので、ここで少しだけぶっちゃけてしまいます。
久世征士の話し方と、一話目の婚約相手、そして二話目の神主。
この三人、口調がかなり似ています。
読みづらいと思いませんでした?
語彙や乙葉への温度感では差をつけていますが、三者とも基本的には丁寧口調。
会話だけ抜き出すと、誰のセリフだか分かりにくい場面もあると思います。
では、なぜ似ているのか。
縁談状を選別していたのは、久世征士です。
そしてその結果、乙葉の前に現れる男たちが、どこか久世に似ている。
さて、偶然でしょうか。