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『幸福の私』について


「物語で救えると思うなよ」

『ショートショートの花束を』で、父親が言った言葉です。

 私は逆張りが好きなので、抗います。
 物語で救ってやろうじゃないか。

 今回のお話『幸福の私』のモチーフは、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』です。

 全身を金箔や宝石で飾られた、煌びやかな王子の像。
 王子は一羽のツバメに頼み、自分を飾る宝石や金箔を、貧しい人々へ届けてもらいます。

 やがて王子の像は見る影もなくなり、渡りの時期を逃したツバメは凍え死ぬ。
 美しさを失った王子の像も壊され、最後には鉛の心臓だけが残る。

 もちろん原作には、その二人が最後に神に見出される救いがあります。

 でも。

 嫌だ。

 誰かのために身を削ったものが、地上では何もかも失って終わるなんて悲しいじゃないか。

 だったら、王子の像も救おう。
 ツバメも救おう。

 二人とも生き残る話を書こう。

 そう思って、私なりの『幸福な王子』を書きました。

 ――私流に。



 どうして。

 どうして、こうなるんだ……。

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