作中で主人公が背負っている「密命」。
史実において、この役目を実際に担ったのは、2話に登場した当時わずか15歳の隊士・市村鉄之助でした。
彼は箱館戦争の最終局面で、土方歳三から写真と遺髪、そして刀を託され、戦場からの脱出を命じられます。 「何としても生き延びて、これを日野の家族に届けろ」と。
仲間が死にゆく中、自分だけが生き残らなければならない苦しみ。 彼はその後、任務を果たしましたが、その生涯は常に「あの日」の影と共にあったと言われています。
本作の主人公もまた、形は違えど、その「生き残ってしまった苦悩」を背負う一人です。 鉄之助が見たかもしれない景色を想像しながら、このパートを執筆しました。