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【碧血の墓標 裏話】土方歳三の遺体消失の謎

 史実において、土方歳三の遺体がどこに埋葬されたのかは、未だに定説がありません。

 明治2年5月11日、一本木関門付近で銃弾に倒れた後、五稜郭内に仮埋葬された説、別の寺に移された説、あるいは敵に掘り返されないよう別の場所へ隠された説……。 確かなのは、今の我々が手を合わせるべき「確実な墓所」が歴史の闇に消えてしまったということです。

 だからこそ、本作の主人公にとって「箱館の土」はただの地面の土ではありません。 遺体が見つからない以上、あの戦場の土そのものが、副長の肉体であり魂である。そう解釈して、この章タイトルにしました。

 骨さえ拾えなかった男たちの、せめてものよすが。 その痛切な想いが、物語のスパイスになっていれば幸いです。

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