突然ですが、平安時代の古典文学が大好きです。
今日更新の「帰る場所」、妻の実家からの帰還シーンは、平安文学の「おちくぼ物語」のクライマックスのようだなあと思いながら書いていました。
「おちくぼ物語」というのは和製シンデレラというような物語で、いわゆる「継子いじめ」――母親を亡くした美しい姫が意地悪な継母や姉たちにいじめられて毎日泣き暮らしているところに、素敵な男性が現れて恋に落ち、姫を家から救い出す――というもの。
「おちくぼ物語」では、薄暗い落ちくぼんだ部屋に住まわされている姫は、姉妹たちの婿のための縫い物ばかりさせられているのですが、右近の少将道頼という素敵な貴公子に見初められます。一方、姫に恋人ができたことを察知した継母は姫を物置にとじこめ、身内のスケベ老人と結婚させて一生こきつかおうとけしかけます。
道頼は一家が出かけた隙に、召使いたちと協力して屋敷に押し入り、物置の扉をこじ開けて姫を盗み出し連れ去って行く――というのがこのシーン。
しかし、本編では
>>「ご心配をおかけした」
>>静かな声。
>>「事の経緯は先ほど会見でご説明した通りだ。
>>……妻の、安全を確保していただき感謝申し上げる」
>>昊天は軽く頭を下げ、あっけにとられている人々の横をすり抜けた。
昊天さんは「感謝申し上げる」と軽く頭を下げて、さっさと妻を連れていってしまいます。
さすが「ガバナンスの魔術師」の本領発揮といいますか、「現代の右近の少将道頼」は、扉を打ち壊すことも声を荒げることもなく、実家との関係も悪化させるわけでもなく、実に礼儀正しく事を成してしまうのだなあと、作者ながら書いていて感心してしまいました笑
ネット小説でお約束の「ざまあ」を期待していた方にはすみません。
(おちくぼ物語では、道頼は義妹をだまして馬面の男と結婚させたり、継母が引っ越す予定の屋敷を取り上げたりと、さんざん「ざまあ」な展開で復讐するんですが)
「成り上がり」などと見下され、妻を一方的に連れ去られて昊天さんも内心ものすごく腹を立てているはずですが、個人的な感情をひとまず置いといて、義父母に「感謝申し上げる」と軽く頭を下げる、という彼のやり方は、春節の帰省での
>>「……それでもおまえは、あの家を否定しない」
>>「否定したら、私がここまで生きてきた時間まで、全部否定することになるから」
という妻の想いへのアンサーでもあります。
たぶん、来年の春節も何事もなかったかのようにしきたり通りに妻の実家に現れて、平然とした顔で食卓を囲んだりして、実家の人々を気まずくさせることでしょう笑
ちなみにこの絵、さすがに現代の上海でいくら旧家といえどこんなクラシックなメイド服のお手伝いさんはいないと思いますが、ちょこんと立つ小猫がかわいかったのでいいかーということに。
しかしペントハウスに合流したあとは、昊天さんから「・・・・・・コスプレはやめろ」と突っ込まれて、もっとモダンでシンプルな服を着ていると思います笑
