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努力型の秀才と「銀のさじ」に殴られた男

「銀のさじ(シルバースプーン)を口にくわえて生まれてきた(=裕福で恵まれた生まれ)」という慣用句がありますけどね。

アーロンは、シンガポール国立大(NUS)から海外の院に進学し、政府系投資会社で経験を積み、友人たちと独立したという、かの国ではエリートの王道ともいうべきキャリア。たぶん実家はシンガポール国民の8割が暮らすというHDB(公団住宅)で、李家屋敷で育った昊天さんとはまったく異なる「努力型の秀才」です。

そのアーロンが、個人の資産を投じてでも、昊天の未来に賭けた。

>>「噂、回ってます。
>> “背後に、動かせない資金がいる”って」

株価防衛戦で、市場が息を呑んだあの朝、突然現れた謎のホワイトナイトはアーロンでした。

シンガポールのエリートって、日本円にして月収数百万円とか稼いでいても、コンドミニアム(高級マンション)の住宅ローンと、競争社会を勝ち抜くための子どもの教育費に追われているのが常でして。アーロンも多分、住宅ローンとインターナショナルスクールに通う娘の学費が肩にのしかかってるはず。

>>一瞬、妻・セリーヌの顔が浮かんだ。
>>(――ここで踏み損ねたら、五年分が消える)

五年どころか、しくじれば娘の将来と夢のマイホームまで全部消える可能性もあったわけですよ。
そりゃ一瞬奥さんの顔も浮かぶというもの。
それを振り切って(――市場がそれに気づく前に、席を取る)と持てる全てをベットするアーロンは、冷静な投資家のようにみえてなかなかの勝負師です。


一方、「持てる者」として「銀のさじ」をくわえて生まれてきた昊天さん。
確かに

◎龍騰グループ
◎創業家の御曹司
◎家の後押しでグローバルエリート教育
◎名家の娘と家同士の縁組

→典型的シルバースプーン側

なんですけど中身は

◎感情を削られる
◎役割を強制される
◎失敗が許されない

と「資源はあるのに、自由がない」という地獄。
チャッピーが「昊天は『銀のさじで殴られて育った男』」と言うので思わず膝を打ちました。
生まれた時から口にねじ込まれ、呼吸を妨げ、時には自分を矯正するために振り下ろされる「家名」という銀のさじ。

その孤独な王が、

「同じものを見ているなら、それで足りる」

ネクサスという未来を通じて、生まれもたどってきた過去も違うアーロンという友と、同志となり同じ地平に立っている。
幸せなことだと思います。

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