参加作品数

36

参加受付期間

  • 開催中
  • 1日後終了 2026年9月24日(木) 23:59まで

企画内容

主人公の視点で語られる「一人称」が初心者に好まれやすい理由には、主に次のようなものがある。

・日常的な話し言葉だけで書けてしまうので人並み以上の語彙力や表現力は必要ない

・執筆に慣れていない素人でも語尾が単調にならずに済む

・設定や構成に気を配らず無計画に書き連ねてもある程度形になる

このように小学生でも書ける単純さを持つ一人称だが、それゆえデメリットも存在する。

まず第一に、「主人公が不在のシーンや見聞きしていない物事は描けない」こと。一人称を選んでおきながら、国の成り立ちや歴史、時代背景などをナレーションのように語ってしまう者がたまにいるが、そんなものを書いた時点ですでに一人称ではない。それらを読み手に伝えるには、登場人物の言動を通じて少しずつ理解を深めていくしかないのだが、それすら出来ない未熟な書き手は意外と多い。

第二に、「周囲の状況や風景、他の登場人物の言動などを生き生きと描けない」こと。どんなに美しく壮大な景色でも、どれほど劇的な戦いであっても、主人公が置かれた状況次第ではその全容を読み手に伝えることはできない。あるいはたとえヒロインであっても、その心情や言動は全て主人公というフィルターを通した表現の範囲に限定される。いずれも三人称のように俯瞰的な視点で描くことはできないというわけだ。もし一人称でそんな真似をすれば、いわゆる「説明ゼリフ」を多用した最低水準の駄作になってしまうだろう。
では制限の範囲であれば何の問題も起きないかと言うと、そうでもない。例えばなろう系にありがちな傍若無人な俺様キャラに、言動から誰かの心中を察するような繊細な一面を与えた場合、他人への気遣いなど微塵もないキャライメージは一瞬で崩れ去ることになる。それを回避するには、主人公以外の心情を一切語ることなく物語を進めるしかないわけで、ゆえになろう系には心を感じ取れない操り人形が雁首を並べた作品が多く見られるというわけだ。

第三に、「深い没入感が得られない」こと。よく耳にする「一人称=没入感」という話は、おそらく映像作品やゲームだけに通じる理屈。小説という頭の中で想像するメディアでは、あまり実効性のない話だ。なぜなら、一人称小説で没入感を得るには、脳内で主人公と自分自身を重ね合わせる必要があり、その際に相違点の多い主人公の言動や性格を抵抗なく自分と重ねられる人間など皆無に等しいから。否応なく視覚的に入り込ませる映像作品とはわけが違う。
もし可能にする手段があるとしたら、それは「さえない自分を無理やり理想の主人公と信じ込む」こと。言うなれば、洗脳や妄想の類である。そんな無理をしたところで、どこか冷めた目で自身を見つめるもう一人の自分を感じるだけ。このような惨めな話を引き合いに没入感を主張したところで、世間からは失笑を買うだけだ。
そもそも小説における真の没入感というのは、一瞬で読み手を物語世界に引き込むほど優れた情景描写や表現力、あるいは現実と見紛うほど生き生きと描かれた人物たちによってもたらされるもの。つまり、登場人物に無理に自分を重ねなくても、その場に入り込んだような気持ちになれるということ。そのような臨場感の演出が可能となるのは三人称であり、残念ながら一人称で主張される没入感は実効性の弱い陳腐なまやかしに過ぎない。

他にも色々あるが、長くなり過ぎたのでこのくらいで。

というわけで、この企画では「小説家に相応しいスキルを目指し三人称に挑み続ける書き手の本棚」と題し、そのような書き手が手掛けた物語を募集する。読み合いではないので、読む読まないは各自の自由。三人称の物語であればジャンルは問わない。

参加方法

参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「小説家に相応しいスキルを目指し三人称に挑み続ける書き手の本棚」を選択してください。

運営より

  • 同じイベントに参加している人からの作品への評価はランキングに反映されません
  • イベントは、主催者または運営によって削除される可能性があります
  • イベントへの参加・解除は開催中のみ可能です

参加作品一覧

殺人鬼は人気者

★6 異世界ファンタジー 連載中 4話 5,414文字 2026年9月12日 20:25 更新

暴力描写有り 短編異世界