「夫婦 掌編」を含む小説

　冬の散歩。薄着で震える僕は、雪国出身の妻に寒さのしのぎかたを教わる。それは遠い冬の日に、「先輩」に教わったことと同じだった——。 ※「鈴の音が消えたあと」のスピンオフ、後日譚…

★（「ふうふ」は逆から読んでも「ふうふ」です）を読む際のお願い 最後まで読んでくださった方は、ぜひ下（ラスト）から上（冒頭）に向かって段落ごとに読んで見てください。異なるストーリ…

　戦乱の世、私達は時代によって引き裂かれ、命を落としました。 「お幸。来世で……泰平の世で、夫婦になろう」 　敦之様は最後にそう言ってくれましたが、こうして生まれ変わってみる…

　転がるウィスキーの空瓶が、どうしても目に付くのだった。 　その日、俺は酷く酔っぱらっていた。深夜11時。いや、0時を回っていたかもしれない。とにかく夜が更けた、静かな時間だっ…

毎日新鮮な卵を売っている卵売り、ある夫婦がそんな彼の秘密に迫る。

この身を花に変えて あなたに会いに行きましょう だからどうか悲しまないで 静かで温かな愛を描くヒューマンドラマ。

分かれ道にいる二人の少女達、彼女達はやって来る人間を案内していた。

　玄関を開けて明かりがついていない事に、未だに慣れない。 　妻と別れてから部屋が静かで冷たい。今まで当たり前にいた存在がそこにいないというだけで、目に見える色彩が一色消えてしま…

　今日こそ離婚をするという気持ちで妻を待っていた。 　家事掃除を全部任され、そのうえ機嫌が悪かったら理不尽な八つ当たりをされる。そんな毎日を続けて10年。そろそろ我慢の限界。人…

　自分が最低だとは分かっている。 　朝起きて、リビングへ降りると朝食の用意がされている。青魚にきんぴらにひじき。油揚げとにんじんの味噌汁。彩鮮やかな純和風の食卓。本来なら食欲そ…

もはや息も絶え絶えとなり、半死半生で帰宅するのが日課となっていた。 夜の遅い時間、もうやめよう、いやあと一杯だけと、そんな調子で毎日深酒に沈んでいく。

他サイト様のイベント用作品です。 「カップ麺、出来たよ」 風邪の時にあなたが作ってくれた“カップ麺”が今でも忘れられなくて…… 掌編で気軽に読める文字数です。よろしくお願いし…

妻とのあいだに子ができず、夫婦仲が冷め切った男。会社の帰りに白い蝶を目にした。その空白の中に望んだ未来を垣間見る。

「家のことなんだけど……」 「書斎なら作らないからね」　 　俺の言葉に妻はピシャリ。取り付く島もない。 「まだ何も言ってないですが……」 「じゃあ、なに言おうとしてたの？…

降格した女神の行き先は人間界。持ち札は、たった3枚の白い“女神カード”。 彼女がそこまでする訳とは――？ 迷子の子供、老夫婦、そして最後の選択。 笑って、泣けて、少し温かくなれる…

安普請の一部屋に、みすぼらしい老夫婦が住んでいた。 二人はよれたボロを着ては散歩や買い物へ出かける。地域住民は二人を「貧乏老人」と嘲笑しながら、将来自分達はあぁなるまいと仕事や家…

「ミレニアム」と騒がれた2000年の大晦日、小学生の一人息子を持つ夫婦はテレビで一家が惨殺されたというニュースを目にする。ショックを受ける両親とは対照的に、息子のニュースへの反応…

この手紙は大変身勝手なものだから読まないように。 誰にも読まれない手記をなぜ残すのか。それは私の狭量に他ならない。秘密を残したまま墓に入ると思うと、胸が張り裂けそうになるのだ。…

「マッサージしてあげようか」 そんな妻からの申し出に「いいよ」と返すと案の定、「あ、そう」なんて退屈そうに言うものだから申し訳ないなと思った。

お盆真っ只中、絶賛旦那のお世話中。 まったく邪魔で仕方がない。ゴロゴロとスマートフォンをいじりながらジュースやお菓子を飲み食いし後片付けは全部私。朝昼晩の食事はあれがいいとかこ…