「円城塔賞」を含む小説

　８月１６日（火）くもり 　今日は兄上に連れられて、生まれて初めて夜会に参加しました。 　どれでも好きな料理が食べ放題だったので、ぼくは大好物のイチゴタルトをお皿に乗せようとし…

「よっしゃあああああ！！！！」 　画面に表示された『００：０４：５８』というクリアタイムを見て、思わず雄叫びを上げた。 　遂にずっと目標としていた５分を切ることに成功したのだか…

シングルマザーの紅（べに）から海音（かいと）が巣立ってゆく直前のことでした・・・

僕はクラスメイトの花守（はなもり）さんに、淡い恋心を抱いている。 だがヘタレな僕は、告白する勇気を出せないまま毎日を過ごしていた。 ――そんなある日、学校の校門を出たところで、花…

アルファベット。 それは時にタッタ一文字で様々な意味合いを持ちます。 あなたはその顔を全て知っているでしょうか？ 私は──

失恋からひと月、孤独な夜を過ごしていた「私」は、ある日ふと気づく。冷蔵庫の奥が、どこか別の世界へ繋がっているのだ。最初はただの暗闇にしか見えなかったが、やがてそこからは毎晩のよう…

サイバースペースを扱ったＳＦショートショート。 若い二十代の技術者は、ここが現実であることを確認するために太陽を見る。 太陽から降り注ぐ光は、まだ人類の技術では再現不可能だから…

一ノ谷の戦いのあと――元暦元年（1184年）8月、源義経は京の守護に任じられていた。折りしも西海では平知盛率いる水軍が、鎌倉の派した土肥実平を撃破し、意気を上げていた。一方で伊勢…

　女房を殺害した栴檀は、死体を平樹安に見られてしまう。その様子をみて歌を唄った平樹安の首を締め、栴檀はむりやり誓わせる。 「お前は二度と歌など唄うな。もし唄っているところを見…

「夏」にコンプレックスを抱える若者たちが海辺の民宿でバイトを始める。 寝食を共にする中で、お互いが抱えているコンプレックスが明らかになっていく。

オレ〈作者〉は、その少女の名前を聞いて、片方の頬がヒクッヒクッと痙攣した。 「帆花〈ほのか〉？　おまえエロホムペの主人公の帆花か⁉　ここカクヨムだぞ！　なんでカクヨムにいる？」 …

現実よりも便利で、現実よりも快適で、そして──現実よりも“人のことが見えない”。 すべてがメタバースで完結する時代、 ロボット修理工として仮想空間に常駐する主人公は、人と出会う…

2175年春。 白樺電気が開発した試作アンドロイド「ELISE-S7100」は、世界初の“心を持った機械”だった。 入社一年目の新米社員、白井義春は憧れの先輩に押し切られる形で彼…

クラスの中で、ひとり距離を置かれる日々を送る桐原美咲。 過去の告白をきっかけに、彼女は教室の「外側」に立つ存在になっていた。 そんな美咲が見つけたのは、 女子人気ランキングに書…

暗い土砂降りの日、クラっとくるような晴れた日、それが僕と君との最後の思い出。少なくとも、僕にとっては。 忘れぬように、目に焼き付ける必要があった。 ________これは、夏休…

渋滞の車内で聴いていたラジオから、忘れられない名前が流れてきた――「蜂つきわたあめ」。 夏祭りと花火の思い出が、電波を通してよみがえる。 過去と今が交錯する、切なくて甘いショート…

同僚が「大丈夫じゃない」と話す間に思い出していたことは、他の同僚の「大丈夫、大丈夫」だった。

ホラー＋百合＋クトゥルフ神話＋因習学園 タイトル・黒き森の深淵〔深淵〕～因習百合学園～ 【あらすじ】 現代──広大な個人所有の敷地内にある深い森の中に建てられた、全寮制の良家…

菜の花の黄に染まりたい。 それが恋心だと気づくのに時間はかからなかった。 しかし気づく頃には、花は散ってしまっていた。

一年に一度だけ会えるAIの彼女・織姫との恋愛を楽しむ拓哉には、やがて、現実の彼女ができて、AIの彼女と決別する……