「数える」を含む小説

　高校2年生の西野湖春（にしのこはる）は、雨上がりのある日、街中の小さな公園で静かに泣いていた青年。──佐々木祐（ささきゆう）と出会う。白い肌に長いまつげ。灰色に澄んだ瞳は、どこ…

作品紹介『心にノック』 静かな午後、誰にも気づかれないように、 ひとつの扉が、そっとノックされる。 それは、誰かの声ではなく、 感情のかけらや、ふとしたひらめきの音…

「ジュリア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する！」 「……！」 　煌びやかな夜会の最中、私の婚約者であり、我が国の王太子殿下でもあらせられるダリル殿下が、唐突にそう宣言した。…

　病室で静かに余命を数える少女・彩香。 　ある日、彼女の前に黒い制服の少女が現れる。名前は いおり。人の「最期の記憶」を記録するために訪れる、死神――“記録係”だった。 　本来…

たくさんのロウソクの火を吹き消したいと思っていた。そんな日々のうつろい。

カードをめくる度に、運命が微笑む。 サイコロを振る度に、命運が嗤う。 これは、僕が考案した一人用カード＆ダイスゲーム（ソリティア）の紹介。 トランプ52枚（ジョーカー無し）、六…

夜になると空を綴るいくらの正体を僕らはまだ知らない。

ある街にこんな都市伝説がありました。 眠れない夜に羊を数えるとコッペパンの丘の夢を見る。 すると、朝までぐっすり快眠できるというものでした。

ロゼ＝ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを…

学校には、いまも語り継がれる七不思議がある。 ――そのひとつが「段数の合わない階段」。 噂を半信半疑で試しに行った二人の生徒は、放課後の静まり返った校舎で実際に階段を数えはじめ…

物語を数えられる人は恐らくいないでしょう。 それもそうです。「人の数だけ物語がある」という言葉の通りに考えれば、物語の数は宇宙誕生から宇宙滅亡までの人類の総数と等しいことになりま…

癒しの聖女と呼ばれているサラス・ヴァティーには聖女とは思えぬ趣味があった。 それは夜な夜な貯めた金貨の数を数えることだ。 一まぁ～い。 二まぁ～い。 三まぁ～い。 一枚たりな…

西暦2580年今では当たり前になっているダンジョン。ダンジョンから取れる資源や物資はエネルギー問題を抱えるこの国にとってはありがたい存在だった。 国はダンジョンに潜る探索者の育…

大学二年も終わりに近づいた二月。吉井一颯（いぶき）は、都内のカフェで高校の同級生だった西条花霞（かすみ）とばったり出くわす。 花霞は、控えめだけど真面目で強さもある女の子で、教室…

一日につき一度だけ、どんなお願いも叶える―― 転校生・水城紗耶が提案した「お願いゲーム」。 最初は些細なものだった願いは、十日間で少しずつ奇妙さを増していく。 「写真を撮らないで…

些細な口喧嘩をきっかけに、妻の静かな一言が夫の心に刺さる。日常に埋もれた感謝の意味を見つめ直す、夫婦の優しい反省録。 登場人物 夫（語り手）：60代。少し頑固で亭主関白気味だが…

江戸下町の古びた長屋に、夜になると金を数えるという噂の黒猫――通称「猫さま」が現れた。最初は半信半疑だった住人たちも、次第に猫を囲んで日常の愚痴や喜びを語り合うようになる。 大…

　平和ボケしている国、日本。 　人身売買、臓器販売、麻薬の密造・密売など、あまり公に見えてこない犯罪などが目立ち始め、日本人だけでの年間行方不明者と違法薬物などで捕まった者は、増…

『奴隷商人』の新バージョン。旧バーションは超能力をバリバリだったので制約がない。こっちのほうは弱い。知恵で勝負。絵美の憑依するのは、エミーではなくアルテミスで、彼女はコーカサスの…

夏の会場に満ちるざわめき、紙コップの氷、遠くのせみ。フリーアナウンサーの私は、その“音の手触り”を少しだけ調えるのが好きだ。拍手の粒がそろう瞬間、言葉が空間にやわらかな輪郭を与え…