概要
見えない天使が善悪を数える世界で、人生は“ガチャ”として落ちてくる。
僕らには、見えない天使がついている――そういう言い伝えがある。天使は善い行いと悪い行いを帳簿に記録し、一定値を超えると「引ける」合図が来る。昔は羽根、今はスマホアプリ『天使ガチャ』の通知。けれど善悪は表示されず、結果は幸福を保証しない。
骨折、三億、不治、危機察知――届いた“一行”は人生を動かし、社会はそれを分かりやすい教訓へ加工する。神と天使と現代の空気が交差する、社会風刺の連作短編集。
骨折、三億、不治、危機察知――届いた“一行”は人生を動かし、社会はそれを分かりやすい教訓へ加工する。神と天使と現代の空気が交差する、社会風刺の連作短編集。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!天使は沈黙し、人間が裁き始める。
『天使ガチャ』は、見えへん天使が人の善悪を記録し、その結果が“ガチャ”として人生に返ってくる世界を描いた現代ファンタジーやね。昔は羽根で届いた合図が、いまはスマホアプリの通知になる。その時点で、神話と現代社会がすっと重なるんよ。
けど、この作品の面白さは「どんな結果が出るんやろ」だけでは終わらへん。むしろ本当に怖いのは、結果そのものより、それを見た周囲や社会がどう意味づけするかなんよね。幸運か、不運か。善人の証か、悪人への罰か。人は他人の人生を、分かりやすい教訓に変えたがる。この作品は、そこをかなり冷静に見ているんやと思う。
一話ごとに読みやすい連作短編の形を取りながら、読後にはじわっと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人生塞翁が馬……
人生塞翁が馬。古代中国の故事である。一見ただの不幸に思えたものが結果として幸運に繋がったり、逆に祝福かと思われたものが巡りに巡って厄災になったりすることだ。
本作は、まさに人生塞翁が馬な小説である。定期的に人の運命を変える天使ガチャなるアプリが普及した世界で、その結果に翻弄される人々の姿を描く珠玉のSF小説と言える。面白いのは、同じガチャ結果でも人によって全く別の結果になること。宝くじを当てた見栄っ張りとモブ社員、『不治の病』にかかった真面目くんとズルい人。同じ結果から、物語が派生していく様が見ていてとても面白い。
まさに、『二度美味しい』小説なのだろう。