概要
偽りには3つある。
結城藩の上士、中野壮之介の妹の佐那は、祝言を前にして病で3年間寝込んでいた。そこに旅の僧が現れ、その病を治すという。重い病の佐那にとって、江戸にいる許婚の佐原弦一郎から手紙が心の支えとなっていた。その手紙は江戸とこの地を往来する下士の義平が届けてくれていた。その旅の僧の薬で佐那の病は良くなったが、彼女は残酷な現実を知ることになる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!報われぬ想いがそっと灯る時代劇 🌿🌌
『偽り』は、「嘘は本当に悪なのか」「真実だけが正しさなのか」という問いを、江戸という時代の空気の中でじっくりと煮詰めたような時代劇ドラマです 📜🌙
病に伏せる上士の娘・佐那、遠くにいる許婚・弦一郎、そして二人のあいだを結ぶ“手紙”を運ぶ下士・義平。物語は、この三人のあいだに積み重なっていく 「偽りの手紙」 を軸に進んでいきます 📖✨
佐那を支えるために書かれた優しい嘘、身分差ゆえに決して口にできない想い、そして「偽りには3つある」という言葉に回収されていく真実――読み進めるほどに、誰が悪いとも言い切れない人間の複雑さが浮かび上がってきます 🍂💭
江戸の町や屋敷、紅葉の庭、墨の匂いが立ち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「誰かを生かすための嘘に、真実は宿るのか」を描いた、切なくて優しい物語
かなり素直に胸に入ってくる話でした。
特に良いのは、単なる「悲恋」ではなく、
嘘そのものを善悪で裁かず、嘘に込められた動機と真心を見せ切っているところです。
義平のしたことは事実としては欺きですが、物語を読み終えると、それを“悪意の嘘”としては読みにくい。そこがこの作品の核です。
また、前半で読者に「弦一郎の手紙」と思わせ、途中で反転し、さらに後半で「義平との成就」に見せてから、最後にもう一段深い悲しみを入れる構成は、古風ですが強いです。
一度持ち上げてから落とすだけではなく、最後は**救いのない絶望ではなく、“悲しいが受け取れた愛”**に着地しているので、読後感が重すぎません。