突然ですが、人は死に際して、何を思うのでしょうか。
それまでの人生が走馬灯のように……とは使い古された表現ですが、それまで歩んできた人生を振り返るのは多分自然なこと。そして回想したとき、おそらく人は考えるはずです。
自分の人生って、何だったのか? と。
本作の主人公は、江戸時代初期の剣豪・柳生宗矩。己の死期が近いことを感じつつある中、友人である沢庵宗彭の訃報に接します。気になったのは、「何も残さぬ」と言っていた沢庵が、死に際して「夢」の一字を書き残して逝ったということ。
親友が「夢」の文字に託した意味は何か? その問いは、宗矩自身の人生を見つめ直すきっかけになります。
そしてついに宗矩にも最期の時が訪れます。彼は残された力を振り絞り、己の生涯をかけた柳生新陰流の神髄たる『兵法家伝書』を、弟子の鍋島元茂に伝授しようとしますが――。
本作は、人生と「夢」に、問いを投げかけ、ひとつの答えを示す歴史短編です。
沢庵が、宗矩が、たどり着いたその答え、是非お読みください!