最終話までのレビューとなります。
この作品で強く心惹かれたのは作り込まれた人物造形です。一人ひとりが特徴的で印象に残りやすく、心がゆさぶられる先に思わず感情移入してしまうのです。本レビューでは主に、ストーリーよりも登場人物にフォーカスしてご紹介させて頂くことをご容赦ください。
舞台は医療技術が限りなく発達しても、心の傷を治すことはできない近未来。冒頭、引きこもりから抜け出せずにもがく主人公の少年・永遠(とわ)は美少女パートナー・瑠璃乃(るりの)と出会います。ふたりは仲睦まじく心を通わせ合うかと思いきや、どこかぎこちなく、綻びを生じる場面も。それには語られてこなかった理由があるのです。
そんな中、永遠の精神をえぐるように絡んでくる害悪メイト。永遠は激しく動揺し、トラウマがフラッシュバック。しかし、瑠璃乃は毅然でありながら柔和な態度で対応し、これを跳ね返します。辛辣で憎悪に満ちた存在にはお約束?のザマァつきなので安心して読み進められますが、先の見えない展開にドキドキ。これは記憶に残る脇役、躍動させる手腕がなんとも光りますね。
天然でほんわか美少女なのに心の芯はダイヤモンドのように硬く、永遠のためなら命をも顧みない。そんな表面的な柔らかさと内面的な強かさを併せ持つ瑠璃乃のギャップに多くの方が沸き起こるような好感を抱くことでしょう。瑠璃乃をサポートしてきた博士も頭はいいはずなのにどこか抜けていて、本当に大事なシーンで『えっ! なんで?』と読んでいるこちらがハラハラしてしまいます。しっかりしてよ博士!とツッコミどころ満載なんですよね。でも彼の言葉は回を増すごとに共感を呼び、畏敬の念を抱くようになるでしょう。そのあたりも彼の為人が如実に現れていて見どころですね。
そして最後に、主人公の永遠が圧倒的に不利な立場でありながら、逆境に立ち向かっていくシーンは胸熱です。
中盤、永遠を苦しめるように吹き荒れる心の嵐。
真実をのせた苛烈な言葉も。
目を背けたくなるような現実の直視も。
瑠璃乃への一途な想いを胸に過去の己を乗り越えて、前を向く英姿に瞠目します。
瑠璃乃と想いを通わせ、強く生きることを選んだ永遠。家から出ることもままならなかった少年はここまで成長できるんだと――まるで王道でありながらお手本のようなストーリー構成。その成長の幅が大きいほど心に響き、読んでいて本当に応援したくなりますよね。
作り込まれた人物造形と緩急自在で構築されたストーリー。読者を飽きさせない工夫も光る胸を打つSFヒューマンドラマです。
この超大作、ぜひ手に取ってみてください。
このお話を読んで、普通って何だろう?と改めて考えました。
物語の主人公である永遠くんは、確かに世間一般から見て、みんなと同じようにできているわけではないかもしれません。でもそれには理由があって、彼も変わりたいと思っています。
そんな永遠くんの前に現れた子、それが瑠璃乃ちゃんです。
強くなくとも、めげそうになっても、瑠璃乃ちゃんのために、何度も立ち向かおうとする永遠くんに胸を打たれます。
二人が共に成長していく姿には、自然と応援したくなる力がありますよ。
どのシーンも丁寧な描写で描かれており、特にバトルシーンは映像付きで見たい!と思うくらいすごい迫力でした!
心揺さぶられる素晴らしい作品です。ぜひご一読ください!
(個人的には博士が好きです💓)
声を大にして言いたい。
優しい物語が好きな方には、ぜひ読んでいただきたい!
舞台は近未来のとある地方の山間部。引きこもりの少年・永遠と美少女・瑠璃乃のボーイミーツガールストーリーです。
ある事件がきっかけで、家から出られなくなってしまった永遠の前に、突然現れた瑠璃乃。彼女の笑顔に力をもらい、永遠は大きな一歩を踏み出す。
ヒロイン瑠璃乃の明るい笑顔が、なにより魅力的です。小説なのでもちろん文字だけなのですが、読んでいて彼女の笑顔が目に浮かぶんです。
向日葵のような大輪の笑顔と、永遠に向けられる真っ直ぐな優しさ。
永遠と瑠璃乃をサポートしてくれる博士の温かな言葉の数々は、とても胸を打ちます。
そして主人公永遠は、とても弱い少年です。ですが瑠璃乃と博士、その他大勢の人に支えられ、瑠璃乃のために大きく成長する。
優しさと感動に胸がいっぱいになる物語です!
牛河かさね様の作品「ほのかたらう僕らは普通になれない」は、まるで静かな田舎の風景の中に未来の息吹が紛れ込んだような作品でした。引きこもり生活を続ける林本永遠と、謎めいた金髪少女・瑠璃乃。二人の奇妙な同居生活は、どこか温かい絵本をめくるような感覚を覚えさせますが、その裏には不穏な未来社会の影がちらつきます。
読んでいる最中、私は自分が永遠の家の隣人になったかのように、壁越しに彼らの会話を盗み聞きしている気分になりました。時には笑い、時には涙しながら、彼らの物語がどんどん私を引き込んでいきました。そして、瑠璃乃の正体が明かされる場面では、心臓が一瞬止まるような感覚に襲われました。それは私自身の「普通」という固定観念が揺さぶられた瞬間でもありました。
この物語の中で、「弱さ」と「強さ」という対極の存在が、奇跡のように響き合いながら共存する様子は、SFでありながらも普遍的な人間ドラマを感じさせます。未来社会の冷たさと二人の温かな関係性。そのコントラストが胸を締めつけ、読み終えた後も、永遠と瑠璃乃の選択を自分なりに妄想してしまう、そんな余韻を残してくれる一作でした。
主人公の永遠は高校生。
とある理由により、引きこもり生活を送る彼の前に、ある日突然、全裸の美少女が現れてこう言います。
「わたしは、永遠の味方ですっ‼」
という掴みバツグンの冒頭で始まる本作。
彼女が向ける好意に最初は戸惑う永遠でしたが、次第にその屈託ない明るさに心惹かれていきます。
しかし、彼女の助けを受けて少しずつ己の「病」を乗り越える永遠の前に、あまりにも過酷な現実が立ちはだかり……!?
彼女に隠された秘密。
そして永遠に課せられた使命とは。
話が進むにつれて徐々に明かされていく真実に、誰もが息を呑み、そして感動することと思います。
「現代の弱者」と呼ばれる少年が、傷つき、つまずき、己の弱さに打ちひしがれながらも、人々の暖かさに背を押され、過去を乗り越えていく。
自らの弱さを克服するのではなく、受け入れ共に生きる強さ。
こちらの作品は少年少女の繊細な心の機微を丁寧に描き、彼らの心情に時に涙し、時にニマニマしながら、ド派手なSFバトルで締める!
最高に興奮して、最高に感動するSFヒューマンドラマ大作です!
引きこもりの少年を救う、という暖かいテーマに溢れた作品です。
瑠璃乃というキャラクターは愛らしく、読者の共感も呼べるのではないでしょうか。
特に、永遠の心理描写が丁寧で、永遠を応援したくなることこの上なし!
ストーリーの流れも、弱い心を持つ永遠が少女と手を取り合いながら巨大な敵に立ち向かう、という王道エンタメストーリーです。
SF素人の私に気の利いた表現が出来ず大変遺憾なのですが💦💦
パワードスーツとか、戦う少女、巨大な敵との戦闘……などなど、大変熱い要素が盛りだくさんですので、是非とも読んでみてください^^
かつてのトラウマにより外へ出られなくなってしまった主人公の永遠が苦悩しながらも新しい一歩を踏み出し、信頼できる人に囲まれて自信を取り戻していく、そんな温かなお話です。
この作品の特筆すべき点は、永遠の心情が丁寧に描写されていて感情移入することができることです。
過去に受けた心の傷、現在の迷いなど繊細な永遠の内面が手に取るようにわかります。
永遠のパートナーとなる少女、瑠璃乃も快活で好感が持てます。永遠を懸命にサポートし、勇気を与えられた永遠は次第に彼女のために、と前向きになっていきます。
二人が互いを信じ合い、手を取り合って大きな敵に向かう姿は微笑ましく、応援したくなりました。
ラストまでとても楽しく読むことができ、読後感もじんわり素敵なお話です。
本格的なSFなんですが、根本に流れるのはヒューマンドラマかな? と思える小説です。
いや、これはやっぱりSFじゃないですね、ヒューマンドラマかなぁ…‥。それくらい最後のシーンは泣けるのです。もう、最終話の最初500文字で涙腺が崩壊します。ほんと、それくらいいい感じなのです。
ということで、この小説のご紹介。前述のとおりSF設定の世界観ですが、どちらかというと読み味は現代ドラマかな? それくらいキャラが立ってる気がする小説です。でも、読み味は、地の文が多いわりにあっさりとしている不思議な小説です。
えっと、この物語のテーマは主人公の成長。支えてくれる人の尊さ、人を信じる心のすばらしさ。そんなものがぎゅっとこの小説には詰まっています。そして読み進めるうちに自然と心が温かくなっていき、最終話でそれが一気に爆発する感じかなぁ。ほんと、最後のシーンがいいのです。こんないいラストシーンみたの、ほんと久しぶりでした。この小説は是非最後まで読んで欲しい。そんな気持ちでいっぱいです。
この作品は近未来のお話であり、非常に練り込まれた設定のSFなのですが……。
SF的なガジェット満載のバトルシーンは迫力がありますし、もちろんそこも魅力の一つなのですが本質はそこに無い気がします。
主人公の永遠は引きこもりで対人恐怖症な超内気な少年です。
物語の前半は、そんな主人公を献身的にサポートしてくれる美少女瑠璃乃ちゃんのおかげで、少しづつ永遠が救われていく展開となります。
お話が進むと徐々にその関係が変化していき、なけなしの勇気を振り絞った永遠が暗闇から瑠璃乃を救ってあげるようにもなっていきます。
いろんな試練を乗り越えながら、二人が真のパートナーになっていく過程がとても感動的で、胸をうちます。
とてもすんなりと物語の世界に入り込める作品でした!
主人公が初見でポツリと呟いたと思ったらその後もさらに口にするあたり「そこに」目が釘付けになったのだろうな・・・と!
そしてSFということで構える必要はまったくない作品に思えます!
魅力的掴みもさることながら、あらすじに作者様の配慮が見えており動線が読み手に可視化されているため、世界観と設定を拾いながらも物語を追いかける視線がブレることはありません!
ですが、視線はブレることはありませんが感情の揺さぶり方はとても・・・
随所で挟まる現実を口にするところは、主人公だけでなく読み手にもとても響き、主人公の背中をグイグイと押したくなる場面も・・・!
展開の緩急がとてもきっちりついているので、歯ぎしりしたくなる場面と、頬を緩ませて頬杖と共に眺めたくなる場面でとても差が激しく感じられるのも魅力といっていいでしょう!
すでに完結しており、私もこのレビューは完結後の余韻に浸りながらかいています。
この物語の主軸である弱者がどのような軌跡を残したのか、結末を迎えたのか、手掛かりになるようなレビューは書いていないはず・・・!
なので、ぜひともみなさんご自身の目で現代の弱者が戦う姿をみていただきたいです!