第7話 教頭、人生で一番どうでもいい理由で無断欠勤する

朝。

職員室。


教頭の席だけが――

綺麗に空いていた。


担任A「……教頭、今日もいませんね」


担任B「昨日もいませんでしたよね?」


担任C「一昨日もですよ」


全員「……」

空席が、

もう“そういうオブジェ”みたいになっている。


一方その頃。


繁華街の裏路地。

教頭は――

闇金鍋島くんと並んで歩いていた。


教頭「……俺さ」


鍋島「ん?」


教頭「今、無断欠勤3日目なんだけど」


鍋島「知らん」


教頭「普通、止めない?」


鍋島「止める理由がない」


教頭「俺、教頭だよ?」


鍋島「だから?」


教頭「いや、だから!?学校側の良心ポジションだよ!?」


鍋島「良心あるやつがあの学校に行くか?」


教頭「ぐうの音も出ねえ……」

教頭はスマホを見る。


《校長:着信 18件》

教頭「うわあああああ!!怖い怖い怖い!!」


鍋島「出ろよ」


教頭「出れるか!!『今どこだ』って聞かれて

『闇金と裏路地です』って言えるか!!」


鍋島「言えばいいじゃん」


教頭「社会的に死ぬわ!!」


鍋島は立ち止まる。

鍋島「……なあ」


教頭「なに?」


鍋島「本当に助ける気あんの?」


教頭「……あるよ」


鍋島「じゃあ腹くくれ」


教頭「え?」


鍋島「これはな」

鍋島は、前を見たまま言う。

鍋島「片手間で出来る話じゃねえ」


教頭「……」

教頭「俺、ただの中間管理職だぞ」


鍋島「知るか」


教頭「残業代も出ねえし責任だけ重いんだぞ」


鍋島「今さら何言ってんだ」


その頃、学校。

校長室。

校長は、静かに怒っていた。


校長「……」

机の上。


《教頭・無断欠勤 3日》

校長「……」


副校長「校長」


校長「分かってます」


副校長「処分は――」


校長「……保留で」


副校長「え?」


校長「嫌な予感がするんです」


副校長「嫌な予感、ですか?」


校長「“逃げた”なら、こんな雑な消え方はしない」


副校長「……」


校長「彼は――どこかに突っ込んでいった」


放課後。

新聞部。


真壁は、記事の反響をチェックしていた。


真壁「……コメント、伸びてる」


部員A「炎上?」


真壁「半分称賛、半分通報予告」


部員B「終わってる!!」


そこへ――

教室のドアが開く。


スティーブン「……よ」


新聞部全員「!!」


真壁「先生」


スティーブン「お前らさ」


真壁「はい」


スティーブン「俺の首、何割くらい締める気だ?」


真壁「今は7割です」


スティーブン「優しいな」


真壁「ただし」

真壁は画面を見せる。


《警視庁関係者が記事を閲覧》


真壁「“上”が動き始めました」


スティーブン「……」

スティーブン「はは」

スティーブン「そろそろ来ると思ってた」


その夜。

警視庁・匿名係。

左京「教頭が消えました」


カブヌキ「え、先生じゃなくて?」


左京「はい。一番まともそうな人間が」


カブヌキ「一番フラグ立ってるじゃないっすか」


白井「……」

白井は、静かに笑った。

白井「いい」

白井「役者が揃ってきた」


左京「次は?」


白井「次は――」

白井「選ばせる」


カブヌキ「何を?」


白井「教師か、生徒か」

白井「正義か、現実か」


その頃。

裏路地。

教頭は、深く息を吸った。


教頭「……なあ鍋島」


鍋島「なんだ」


教頭「俺さ」

教頭「戻れなくなるよな」


鍋島「もう戻れねえよ」


教頭「……」

教頭は、小さく笑った。


教頭「そっか」

教頭「じゃあさ」

教頭「最後まで行こう」


鍋島「最初からそのつもりだ」

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GTS イミハ @imia3341

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