幼い見た目のハートフル作品
- ★★★ Excellent!!!
私がこの作品で特に心を掴まれたのは、「駅」という舞台の使い方です。 タイトルに「ステーション」とあり、物語の冒頭で「電車はもう来ない」と語られる。 無意識に「どこかへ旅立つ話」を想像していました。
ところが読み進めるうちに、この場所は出発点ではなく「立ち止まっていい場所」なのだと理解しました。 リクのエピソードにある「休憩中」という言葉が、その転換を象徴していたように思います。
また、ミオが一週間後に再び駅舎を訪れるシーンも印象深いものでした。
「泣いたりしていない。でも、どこか落ち着かない表情で、手をぎゅっと握りしめている」 という描写。 言葉では平気なふりをしているのに、身体が正直に緊張を伝えている。
そこでカンナが取り出す「二回目に来た人にだけにあげる"がんばり星型クッキー"」。 再訪すること自体が「もう一度がんばりたい意思の証」だという設定に、私は不意を突かれました。
一度で解決する魔法ではなく、何度でも戻ってきていいと許可してくれる場所。 その優しさに救われる読者は多いのではないでしょうか。
カンナの造形も絶妙だと感じました。 「キラリン☆」という口調や顔文字の使用から、私は彼女を無邪気なマスコット的存在として見ていました。
だけど「ミスするのは頑張ってる人だけ」「寂しいのは誰かを大事にしてる証拠」といった言葉は、人生の機微を知る者にしか紡げないものです。 幼い見た目と成熟した言葉の落差が、彼女の台詞や歩んできた背景の深みを与えてくれました。
ハートフルな作品をありがとうございました。