第15話 ピンクの伝説ーフィクション仮面

バイクのエンジン音が、

校門前で止まった。

そこに立つ文字。


《おにぎり帝国・学園区》


ピンクは、

自分の顔に貼り付いた仮面を

無意識に触る。


取れない。

取れる気配もない。


アロンアルファは、

裏切らない。


「……最悪だな」


数時間前。


緑のとんがりボウシを被った

イケメン――

ピンクは、

いつものようにバイクを走らせていた。


その前に、

突然現れた――

仮面の少年。


急ブレーキ。


回避。

だが――

バイクは横転。


次の瞬間。

仮面。仮面。仮面。

群がる、

同じ顔をした少年たち。


ピンク

「……やめろ……」

「来るなぁぁぁ!!」

暗転。


目を覚ますと、

世界が笑っていた。


顔に、

笑顔の仮面。


剥がれない。

痛みすらない。


ハンドルを

意味もなくグルグル回す、

笑顔を貼り付けたおじさん。


「この世界は、

3日で終わります」

「私の無くした**フィクション仮面の“仮面”**を探してください」

「それが見つからなければ――」

言葉の続きを、

ピンクは聞かなかった。


理解を、

拒否した。


気付いたら、

ここにいた。

おにぎり帝国。


校門の内側から、

異様な圧が滲み出ている。


ピンクの胸が、

ざわつく。

(……この感覚)

(間違いない)


かつて――

魔王アモンを倒した時と、

同じ。


勇者の血が、

騒ぐ。


「……またかよ」

「世界の終わりとか、勘弁してくれ」

校門をくぐった瞬間。


空気が変わる。

生徒たちは、

整列して歩き、

誰も笑っていない。


校内放送が流れる。

「皇帝おにぎりマンより通達」

「反抗は許可しない」

「希望は配給制だ」


ピンク

「……完全に

ヤバい宗教じゃねえか」


その時。

教室の扉が、

開く。


中から出てきたのは――

白い体、

三角の頭。


おにぎりマン。


おにぎりマン

「……新顔か」


視線が、

ピンクの仮面に止まる。

「その仮面……」

「物語の外から来たやつだな」


ピンク

「……あ?」

次の瞬間。


空に、

無慈悲なカウントダウン。

《世界の終わりまで残り 2日20時間》

ピンクの仮面が、

きし、と音を立てた。


おにぎりマンは、

笑う。


「いいタイミングだ」

「帝国には今――」

「反逆者が足りない」


遠くの校舎裏。

ノビTELが、

この光景を見ていた。

(……まただ)

(また、

“何かが始まる”)


世界は終わりに向かっている。


主人公は多すぎて、

誰も正しくない。


残り時間

2日19時間

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打ち切られたヒーローは賞味期限切れで異世界に帰ってきた件について。 イミハ @imia3341

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