第14話 おにぎりマンと、救われなかった学校

転校初日。

席に座る間もなく、

ジャイキリは殴りかかった。


理由は単純。

「転校生=気に入らない」


その拳が届く前に、

おにぎりマンが、ぼそっと言う。

「……ナルホド・ザ・ワールド」


世界が、止まった。

黒板のチョークの粉が宙に浮き、

いずこちゃんの罵声が

口の形のまま固まる。


おにぎりマン以外、全員停止。


おにぎりマンは、

ゆっくりと歩く。


一切の躊躇なく、

いずこちゃんのスカートを

ひとめくり。


「……確認完了」

そして、

一言。


「黒」


意味は、誰も知らない。


ジャイキリの前に立つ。

「よう」

ドゴォッ!!


拳が、

世界を殴る。


時、再開。

次の瞬間。


ジャイキリは、

教室後方のロッカーに

めり込んでいた。


金属が歪み、

扉が悲鳴を上げる。


誰も声を出せない。


非ネオは、

一瞬で状況を理解した。


理解が早いのが、

ズル賢い奴の長所だ。


倒れたジャイキリに

追い人ケリ。

「うわー!ジャイキリ最低だなー!」


そして、

即座におにぎりマンへ。

「す、すごいっすね!!さすが転校生!!」


おにぎりマン

「焼きそばパン」


非ネオ

「はい!!」

「買ってきます!!」


おにぎりマン

「お前の金でな」


非ネオは、

100メートル4秒台の速度で

校舎を駆け抜けた。


ノビTELは、

震えながら見ていた。

(……この人なら……)

(この学校を……救ってくれる……)


目に、

わずかな希望。


だが。

数日後。


ノビTELが登校すると、

学校は別物になっていた。


校門に掲げられた横断幕。


WELCOME TO

おにぎり帝国


校内放送。

「皇帝おにぎりマンより通達だ」

「昼休みは全員、米粒を床に落とすな」

「違反者は、塩対応とする」

意味が、分からない。


教室。

黒板の上には、

巨大な文字。


《序列》

・皇帝:おにぎりマン

・側近:フジキちゃーん(いつの間に)

・配達係:非ネオ

・壁:ジャイキリ

・その他:それ以外


ノビTEL

「……え?」


非ネオは、

焼きそばパンを抱えたまま

奴隷のように立っている。


いずこちゃんは、

なぜか玉座の横で

扇子を持っていた。


ジャイキリは、

ロッカーの歪みと

同じ姿勢で固まっている。


おにぎりマンは、

教卓に座り、

腕を組んだ。

「安心しろ」

「暴力は、秩序のために使う」


ノビTELの背中を、

冷たい汗が流れる。


その夜。

ノビTELは思う。

(……この学校は……)

(救われたんじゃない)

(支配されたんだ)


廊下の奥で、

おにぎりマンが呟く。

「……やっとだ」

「主人公ってのは」

「こうじゃなきゃな」


第二部、

完全に間違った方向へ加速中。

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