天気予報

たたみや

第1話

「僕が坂巻、彼が白井。陰ノ者です、どーもー」

「最近ニュースで天気予報しか見てなくてさ」

「別にいいじゃなーい。テレビつまんねって正直に言えばさー」

「それはおいおい言おうと思ってたよ」

「言うつもりだったんだー」

「それに、天気予報って嫌味がないから見てられるんだよね」

「天気予報に嫌味があったらそっちの方が問題だよー」

「僕が天気予報のニュースの感じやってみるから、坂巻がテレビの前で監修やってよ」

「テレビの前だと見てることしか出来ないんだよー。じゃあさ、せっかくだからやってみてよ」

「それでは、天気予報です。良純さーん!」

「だめだよー。そんな名前のやつにキャスターさせたらー。天気予報外れちゃうじゃなーい」

「分かりました。良純は降板させて死刑にします!」

「そこまでしなくてもいいよー。起用しなければいいんだからさー」

「それでは早速天気の方ですが、下駄を使って占っていきたいと思います」

「『あーしたてんきになーれ』じゃないんだよー。それだと良純より当たらないじゃなーい」

「おっ、裏ですか。それだと吉原と中洲とすすきのは雨ですねー」

「何でそういうとこをチョイスして天気予報をするのさー」

「えーと、えーと。にっぽんのー、我が国のー」

「なんでうろたえるのさ。そういうのって相場は各地方の県庁所在地とかじゃなーい?」

「それでは、津市のお天気ですがー」

「いきなり三重県いくの? そこは北海道から南に沿っていくもんでしょ?」

「明日の日本ですが、北からミサイルが降ってくるでしょう」

「急にどうしたのー。それはシャレにならないやつじゃーん」

「一発だけなら誤射かもしれない」

「それもやめてよー。実際にこんな記事を出してた新聞があるらしいけどさー」

「続きまして、北方領土、竹島、尖閣諸島の天気ですがー」

「やめてよー。聞いていてどんどん空気が重くなっていくんだよー」

「では続きまして、網走、川越、尾道の天気ですがー」

「刑務所のあるところばっかりもやめてねー」

「あれ、スタジオがちょっとどんよりしてますねー」

「絶対自業自得だからねー、それ」

「そして太平洋側には『まいうー前線』ですねー」

「『梅雨前線』でしょー。今までよりもずっとマシだけどさー」

「おや、これでもスタジオには高気圧が起きないですかぁ」

「起きるわけがないよあんなオヤジギャグでさー」

「おや、どうしたんだろう。頬に雨が伝ってきたぞ……」

「別に同情しないよー。それもこれも自業自得なんだからさー」

「笑えよお天気お姉さん! 何のために親からそのルックスもらったんだよ!」

「せいぜい苦笑いしか出来ないってー。ルックス関係ないよー。まあ確かに、最近のお天気お姉さんは美女揃いだよねー」

「ガチ恋勢の方への責任は取れませんよー」

「いちいち言わなくていいんだよそんなことー」

「それに、うちのお天気お姉さんは日替わりで美女揃い。全員水着写真集を発売したことがある人に限定しております!」

「急に何言うのさー。今のテレビ局がそれやってたら怖いんだよー」

「何でですか?」

「色々と頭をよぎるんだよー」

「そういう妙な勘ぐりは頭の上に納めて下さいねー」

「頭の中ね頭の中。上に納めるのはやめとこうねー」

「それでは、1時間ごとの地域の天気と為替と株の値動きです」

「後のニュースとごっちゃになってるじゃなーい」

「太平洋側の地域の雨は52銭のマイナス、円ドル相場は降水量2mmとなります」

「ほーら言わんこっちゃなーい。これはもう放送事故だからねー」

「大問題ってことですか?」

「それはもう、大問題だよー。そもそも白井、嫌味のない天気予報どこ行ったのさー?」

「分かりました。良純に全責任を取らせて死刑にします!」

「まだいたの良純? それにいくら何でも良純かわいそ過ぎるよー! もういいよ、どうもありがとうございました」



 陰ノ者のネタが終わり、会場は拍手と歓声に包まれた。

 そしてネタ終わりの独特な雰囲気が尾を引いているように感じられた。

 新ネタの手ごたえはまずまずといったところだろう。

「まずまず、かなあ」

「白井もそう思うかい? まだまだ別の賞レースが僕たちを待っているからね。立ち止まっている場合じゃないよね」

「彼らばかりが活躍しても張り合いがないからねー」

 こうして、更なる飛躍のために陰ノ者はステージに立ち続けるのだった。

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天気予報 たたみや @tatamiya77

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