『 五億円マグロは、だれの価値なのか』

ニュースで話題の「五億円マグロ」をきっかけに始まる、兄妹の何気ない会話。
最初は「食べてみたい!」という素朴な憧れだったはずが、兄の冷静で現場目線な説明によって、少しずつ“現実の市場”の話へと流れていきます。

セリの仕組み、値段の差が生まれる理由、ブランドの裏側。
どれも知識としては少し難しそうなのに、この作品ではすべて日常会話の延長として自然に入ってくるのが心地いいです。
説明しているのに説明っぽくなく、兄妹の距離感や温度がそのまま文章に出ている感じがします。

派手な展開や大きな事件はありませんが、読み終わるころには
「五億円って何なんだろう」「価値って誰が決めてるんだろう」
そんな問いが静かに残ります。

ニュースを見て流してしまいがちな話題を、ぐっと身近に引き寄せてくれる短編。
軽く読めて、ちゃんと面白い。そんな一作でした。

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