土下座も本気の証―学園ラブコメの“意外な深さ”に笑顔と共感が止まらない
- ★★★ Excellent!!!
最初の掴みが、とにかく強烈です。
放課後の屋上、夕焼け、そして――土下座する生徒会長。
この時点で「ただ者ではない」と察せられますが、本作はその期待を軽々と超えてきます。
一見すると、勢い重視のコメディに見えます。
しかし読み進めるほどに分かるのは、登場人物の感情や行動がきちんと地続きで描かれていること。
生徒会長・九条梨香の必死さも、主人公・根岸の戸惑いも、単なるギャグのためではなく、それぞれの“譲れないもの”から生まれています。
特に印象的なのは、女児向けアニメのショーという舞台設定です。
笑いに転びやすい題材でありながら、作品は決して軽んじず、「好きなものを好きでいる気持ち」を真正面から描いています。
子どものため、誰かのため、そして自分自身のために行動する姿が、自然と共感を呼びます。
会話のテンポも非常によく、ツッコミと状況描写のバランスが絶妙です。
勢いで読ませながらも、キャラクターの表情や心理がきちんと浮かぶため、読み疲れがありません。
笑っていたはずなのに、ふとした瞬間に胸が温かくなる――そんな読後感が残ります。
ラブコメとしても、コメディとしても完成度が高く、
「楽しい」「続きが気になる」という純粋な読書欲をしっかり満たしてくれる作品です。
肩肘張らずに読めるのに、読後にはちゃんと記憶に残る。
学園ラブコメが好きな人はもちろん、少し疲れている時にもおすすめしたい一作です。