なんだか、
「泣いた赤鬼」を思い出しました。
青鬼との友情を犠牲にして、人間と友達になった鬼の話ですが……
鬼だけじゃなく
人間が抱え込めるものにはおそらく限度があって、
何かを得るためには、
何かを捨てないといけない。
それは、吸った空気を吐くくらい当たり前のことなのかもしれない。
永遠に空気を吸い続けることなどできないのだ。
物語の終わりを察するに、
主人公はこれから、気持ちを切り替えて新しい人生を歩んでいくように感じます。
時々過去を振り返りながら。
それを、残酷と感じるのか、切ないと感じるのか、
いや、普通のことだよ。と感じるのか。
色々な答えを含んだこの物語。
ご一読を。
主人公の内面を想像して、ものすごく感情が揺さぶられました。
大切な人に一週間前に去られてしまい、世界から全ての色が消えたかのように感じている主人公。
でも、そんな日常の中にふと変化が起こる。
これまで漫画の賞に応募するも落選を続け、信じることも難しくなっていた。それでも、たしかにそこには「足跡」というものがあって……。
この感じは、小説でも漫画でも「いつかは世に出たい」と思っている方には強く沁みる内容ではないでしょうか。
一体いつになったら芽が出るかわからない。自分の実力だけの問題ではなく、運や巡り合わせの問題は確実に出てくる。そんな中で努力だけ続けねばならない中で、心だけは確実にすり減っていく。
そして、時が経てば経つほど、自分自身を巡る環境も変わってしまう。
「芽吹きの瞬間」が訪れれば、きっと嬉しいには違いない。でも、「もっと早く」となっていたら、その喜びだってもっと大きかったかもしれない。
喜びを味わう一方で、喪失や空白も意識させられることもある。
そんな心の揺れ動きが、痛いほどに伝わってきました。でも、寂しさだけでは終わらない。これまでに歩んできた「たしかなもの」は確実にある。
そんな切なさと力強さを感じさせてくれる、鮮烈な印象を持った作品でした。