狂気を孕む其よ──。

困った。非常に困った。
わたしはまた、この物語を読みに項を開いてしまった。
昨日、今日、そして明日も──。
もしかしたらわたしは、月を眺めているかもしれない。

──月とは。
いつの時代に於いても、人間の理性を狂わせる。
狂気を孕む其は、かの騎士でさえ狂わせた。

それだというのに、わたしたちがその狂気に抗えると言うのだろうか?

わたしたちの心は狂気に、恐怖に。言葉にできない暗澹たりて惨憺たる闇がりに怯えるはずだったんだ。

だがどうだろう。
あぁ、困った。

わたしたちは斯くして恍惚とし、其惚れてしまったではないか。

あぁ──困ったなぁ。

わたしたちにはもう、其が隣にいるようだ。
さて、君も……わたしたちの隣に座ってみてはいかがかな──?

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