エピローグ 神は、結果を保存した
神は、
玉座に戻っていない。
あの実験のあと、
玉座は「不要」と判断された。
座る意味が、
消えたからだ。
神は、
ログを眺めている。
数字。
発言。
選択。
そして、
最後に残った一文。
勝者:なし
神は、
それを消さない。
「妙だな」
神は、
独り言のように言う。
「“最強”を決める実験だった」
「勝者がいないのは、
失敗のはずだ」
だが、
指は動かない。
代わりに、
別の項目を開く。
社会形成ログ
王:排除
檻:破壊
優しさ:武装化を拒否
決断:分散
神は、
少しだけ考える。
「……人間は」
「もう、
支配の代表を
必要としないのか」
その問いに、
答えは返らない。
神は、
聞く相手を持たない。
実験体たちは、
もう“人間社会”に戻った。
MBTIは、
また娯楽になる。
ネットで、
擦られる。
「INTJ最強w」
「INFJ闇深」
「ENFPうるさい」
神は、
そのログも保存する。
「……平和だ」
だが、
最後に一つ。
神は、
非公開フォルダを開く。
異常ログ
項目:共感
影響:命令拒否
結果:実験破綻
評価:想定外
神は、
そこにコメントを残す。
次回実験では
共感を
初期能力として
排除すること
……そして、
手を止める。
「いや」
神は、
その一文を消す。
代わりに、
こう書いた。
次回実験は
不要
保存。
神は、
初めてログを閉じる。
「観測は、
十分だ」
その瞬間。
どこかの世界で、
誰かが言う。
「王じゃなくても、
決めていいよな」
神は、
それを聞かない。
だが、
データには残った。
人間は
勝たなくても
続く
神は、
その結果を保存し、
二度と、
開かなかった。
――完――
神様、MBTIで人類最強を決めるのはさすがに雑じゃないですか? イミハ @imia3341
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