概要
人間には物語が必要だ。
母が語る、苦難を乗り越えた半生。そして、その物語から零れ落ちたもの。
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- ★★★ Excellent!!!物語、それは呪い
人間はみな、自分の物語を持っています。人間は誰しも人生という物語の主人公です。
ここで大事なのは、物語とは事実の解釈によって成り立つということです。事実は事実でしかないですが、解釈は人によって異なる。だからこそひとつの事実から多くの物語が生まれるのです。
そして、だからこそ個人間での現実認識の齟齬が生じます。それは、結果的にコミュニケーションの不全にも至ります。
このお話はそういうお話です。
このお話は二部構成です。前半は母親、後半は子供の視点で語られます。ふたりは同じ事実について語っています。しかし、解釈が異なる。致命的なほど。
だから、ふたりの物語はずれています。重なりあっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!物語の効用とは一体、何なのか。我々はそれと、どのように向き合うべきか。
前編『物語』は、子供が手を離れたのち、自らの人生を回想する母の物語。
どことなく冷めている淡々とした視点で「過ぎたこと」を振り返っていく彼女は「自分の人生を肯定できるかどうかが全て」だと考える――。
続く後編『不要品』では息子の視点から、前編に散りばめられた違和感の謎が解き明かされる。
しかし、本作はミステリーではなく、あくまで現代ドラマです。
謎の先に「心地好い解決」などという絵空事は存在せず、ただぱっくりと空いた虚無の穴の深淵が待ち受けています。
それはまさしく『物語の効用』というタイトルが示す通りのものであり、物語に携わる万人が向き合うべきでもある普遍的な事柄。
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