最低という言葉が残った理由
ー最低.
その言葉は、
最初からあったわけじゃない。
昔。
まだ校名も違った頃。
その高校は、
「更生モデル校」と呼ばれていた。
掲げられていた標語。
正しく生きろ
誰も、
守らなかった。
ある日。
一人の生徒が、
階段から落ちた。
止めに入った教師と、
揉み合いになり。
誰も、
助けなかった。
会議室。
報告書。
処分。
「事故」
その二文字で、
終わった。
その時。
一人の教師が
言った。
「……正しかったんですか」
誰も、
答えなかった。
年月が経ち。
校長が、
変わり。
名前が、
変わり。
だが。
構造は、
変わらなかった。
校長は、
知っていた。
「正しさ」は
人を守らない。
だから。
最低を
置いた。
スティーブン。
最低な教師。
暴力。
暴言。
違法。
全部、
最低。
だが。
逃げなかった。
生徒が、
殴られたら。
殴り返した。
泣いたら。
立たせた。
逃げたら。
追いかけなかった。
選ばせた。
刑務所。
面会室。
スティーブンは、
一人の元生徒と
向かい合う。
里中ではない。
名前も、
もう出ない。
元生徒「……先生」
「俺」
「今」
「立ってます」
スティーブンは、
何も言わない。
夜。
独房。
夢。
黒板。
文字が、
増えていく。
最低
でも
立て
朝。
別の街。
別の学校。
別の教室。
若い教師が
黒板に書く。
立て
理由は、
知らない。
さらに別の場所。
メモ帳。
走り書き。
最低
線が引かれている。
消されない。
その言葉は。
許すために
残ったんじゃない。
美化するためでもない。
逃げなかった事実を
忘れないため
正しさは、
時代で変わる。
制度は、
人を切り捨てる。
でも。
立ったかどうかは、
消えない。
だから。
最低という言葉が、
残った。
完
スティーブン先生の最低な授業ー外伝ー イミハ @imia3341
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