夏祭りの喧騒の中で
- ★★★ Excellent!!!
盆踊りの音や屋台の匂い、人の声が重なり合う描写が心地よく、読み始めてすぐに夏祭りの中へ連れていかれました。
その賑わいのすぐ裏側にある、少し暗くて静かな場所を選ぶ感覚が、とても印象に残ります。
ゆうことなぎさのやり取りは軽やかで、笑い合う場面も多いのに、言葉の奥にはそれぞれの想いがちゃんと息づいているように感じました。
楽しさと、言葉にしきれない気持ちが同時にある、その距離感がやさしく描かれています。
読後、夏祭りの音が少し遠くで鳴り続けているような、そんな余韻のある物語です。