生き残った理由を、剣だけが覚えている。
- ★★★ Excellent!!!
壮絶な敗北のあとに残された“時間”を、驚くほど静かに描いた作品だと感じました。
大きな戦いや感情の爆発を前に出さず、ただ同じ動作を繰り返す姿を追っていく。その抑えた語り口が、かえって喪失の重さを際立たせています。
誰がどんな人物だったのかは多く語られませんが、剣の振り方ひとつひとつに、確かに「その人」が残っている。その感覚がとても印象的でした。
剣と記憶と沈黙で語られる、とても誠実で、重みの残る、素敵な作品です。