派手さより、空気を味わう物語

作品にいいねをいただいたご縁で、本作を読み始めました。

映画『トリック』を彷彿とさせるような、日本独特の「ムラ」を舞台にした作品です。

ここで描かれるのは、『一ニ三五村』という、現実社会とは「何かが違う」と感じさせる独特の世界。

『一ニ三五村』は、単なるコミュニティとしての村ではなく、現実社会から少しズレた論理と時間を内包した、どこか異様な世界としての”ムラ”。

その中に足を踏み入れた主人公たちが、少しずつ「違和感」を積み重ねていく過程が、とても丁寧に描かれています。

タイトルにもなっている「一ニ三五村のどろどろ様」という存在が、

これは何だろう?
妖怪?
妖怪を隠れ蓑にした人間?

という、タイトルの核となる部分について、色んな解釈が出来るのが、作品の懐の深さを感じました。

『一ニ三五村』という名前や風習、生活描写など、没入感を高めるための仕掛けが物語の随所に散りばめられており、派手なバトルや急展開で引っ張るタイプの作品ではありません。

その代わり、「世界観そのもの」をじっくり味わう構成になっていると感じました。

まだ10話ほど読んだ導入部分の段階ですが、物の怪や因習の残る田舎のムラ、説明しきれない怪異や不穏な空気感が好きな方には、かなり刺さる作品だと思います。

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