「音がつなぐ。二人の旅はまだ終わらない。」

音楽と旅がそっと寄り添いながら、主人公の心をゆっくりと癒していく、、それがすごくいい。カセットテープという小さな道具に、二人で過ごした時間が静かに宿り、巻き戻すたびに思い出がやわらかく息を吹き返す。旅の途中で出会う人々や風景は、失ったはずの温もりをそっと思い出させ、主人公の胸に小さな灯りをともしていく。最後に録音される“新しい音”は、奈央と共に歩んだ日々がこれからも続いていくことを優しく示し、読後にあたたかな余韻を残す物語です。