概要
もう二度と、私を置いて行かせない
雪が降り積もる聖夜、マンションの302号室には、これ以上ないほど「完璧」な家族の団らんがあった。豪華な七面鳥、宝石のようなケーキ、そして温かなキャンドルの炎。一家の大黒柱として厳格に座る父、慈愛に満ちた微笑みを浮かべる母、そして無邪気な瞳でケーキを見つめる弟。主人公・花院ユキは、そんな家族にかいがいしく仕え、満面の笑みで乾杯のグラスを掲げる。だが、この幸福な食卓には、奇妙な『静寂』が満ちていた。ただ一人、ユキの弾むような声だけが、冷え切った部屋に虚しく反響する……。妖神と人の奇譚。
全5話
全5話
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!302号室で何が起こったのか!?
ある家族の風景が描かれる。クリスマスの夜、四人で食卓につく家族。奇妙な静寂。何かが変だ。何かがおかしい。この家族は通常じゃない!
物語は、本作の美しい主人公・花院ユキの過去に戻る。そこから語られるのは、ユキが家族の愛情に飢えていたこと。それを満たす人たちがいたこと。そして、彼らを絶対に逃さないと決めていること。
冒頭の〈奇妙な静寂〉が何だったのかを考えると、ゾッとするような想像が膨らみ、文章を読み進めるのが恐ろしくなってくる。だが、手が止まらない。302号室で起こった出来事を追いかけてしまう。
濃密な描写は、サスペンスとショックにみちあふれており、〈奇妙な静寂〉の正体を緊迫感を持って明…続きを読む