楽しい推し活だった。だから終わりもちゃんと胸が痛くなった。

……恋じゃない。恋なんかじゃない。
新入社員の山本碧都へ対して教育係の野口が抱いた感情は、彼を戸惑わせました。

まさか、恋?
男性どうしで?
彼女もいるのに?

いや、恋ではない。推し活だ。
そう決めた野口の思いは、むしろ彼の感情の本質を表わします。
この物語を読む者は、もうみんなわかってしまうのです。

それは、五年の後に野口本人にもわかるのです。

恋じゃないと思っていた気持ちが、最後にちゃんと恋だったとわかるのです。
でも、その瞬間が恋の終わり。

最後まで名前をつけることもできなかった想いが描かれる。
そんな小さな恋のお話でした。