第5話 悪魔、天使に巣食われる

 以降のことである。

 天使は、悪魔の仕掛けた罠にかかったがゆえに、片羽に擦疵さっしを負ってしまった。さすれば、たかだかすりむけ程度のかすりきずで天空へ飛ぶこともままならぬと泣き始め、さらにはこんなみじめなさまではエデンに帰ろうが父なる神に合わせる顔がないとまで言い出す始末であった。結局、しばらく下界にとどまることとなる。

 かたや悪魔は、さような天使なんざに興味はないので、簡易トラップの新たな仕掛けスポットを探しに正教会を立ち去ろうとした。ところが、そこを天使に何度も呼び止められるのである。


「傷ついた天使を置き去りにするの?きみって、とても悪魔なんだね」


 そのようにごねては、悪魔のことを「悪魔だ」などと常識の逸脱しない悪口を並べて、涙ながらに介添を訴えるのだ。

 どうしても憑依するに人間にこだわる悪魔、甘えてむずかる天使にはなはだつきまとわれたのは言うまでもない。天使はまるで、小悪魔であった、

 

 

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マヌケな天使と憑きたくない悪魔 ぽんつく地蔵 @Nirva-na3

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