『終わる私と、終わらない世界』

かつて平和だった世界は、
突如現れた終焉の獣によって崩壊した。

世界人口の半分が失われ、
神は沈黙し、時代は「暗黒時代」と呼ばれるようになる。

人類は滅びなかった。
五人の英雄――
大魔法使いアウレリアを中心とする《五英雄》が、
終焉の獣を討ち果たしたからだ。

それから数年後。

魔法学校《アルカディア学府》に通う一人の少女、
エルシア＝ルクスフィリア。

彼女は英雄の妹でありながら、
ただの学生として静かに日々を過ごしていた。

だがある夜、
正体不明の獣に殺された瞬間――
世界は、朝へと巻き戻る。

それは「救済」ではなかった。
エルシアが死ぬたび、世界は拒絶され、やり直される。

記憶を持ち越すのは、彼女ただ一人。
繰り返す死と再生の中で、
エルシアの心は少しずつ摩耗していく。
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