概要
観客の膝が跳ぶ、皮膚のアンサンブル
右膝の怪我でバレーを諦めた高校三年生・田中莉緒は、観客がダンサーの感覚を共有できるという実験的なダンス公演のチケットをもらう。皮膚電位同期スーツを身にまとい客席に座った彼女は、舞台上のダンサー・紗耶と、その身体を撮り続ける写真家・玲子の踊りを、他の観客たちとともに同じ膝で体験する。記録される跳躍と、写真にもログにも残らない揺らぎ。身体は誰のものなのか、共有と所有のあいだで揺れる一夜の物語。
本作品はTALESに投稿後、改稿されたものとなります。
本作品はTALESに投稿後、改稿されたものとなります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!近未来の技術と人間の身体性、その先に待つものを想像させるSFドラマ。
かつてSFは未来世界のシミュレーションとしての意義を内包していました。しかし時代が進み、これまで夢物語と思われていた科学技術が次々と現実のものとなっています。
そうした中で現代のSFは、すでに遠からず実現するかもしれないテクノロジーを通じて、反射的に「それでは人間とは何か、人生の価値、人間の存在理由は何か」という哲学的文学的な問いを見詰め直す方向へ変化しつつあるそうです。
取り分け注目されているトピックのひとつが「身体性」に関する問題。やがてAIが意識を持ち、あるいは自立した個としての存在を所有するようになった場合でも、なお差異として残される要素のひとつかもしれません(AIがロボットにインス…続きを読む