きな粉を飲め。話はそれからだ。

ガチムチ師匠に目を付けられた時点で、もう逃げ場はなかった――そんな予感が最初から最後まで裏切られない、勢いとテンポが抜群の異世界コメディです。

主人公ソーニャは、帝国の敗戦で兵役を解かれ、将来に迷う元兵士。重たい設定のはずなのに、物語は敵国将軍の「弟子にしてやろうッ!」の一声で、容赦なく筋肉と瓦礫ときな粉の世界へ転がり落ちていきます。

本作の魅力は、理不尽なのに妙に筋が通っている(ような気がする)師匠と、それに振り回されながらもツッコミを失わないソーニャの一人称語り。
読者の心の声を代弁してくれるテンポの良い独白が、過酷な状況をひたすら笑いに変えていきます。

ネタに全振りしているようで、気づけばソーニャが少しずつ“居場所”を獲得していく過程も描かれていて、読後感は意外と爽やか。
深く考えずに読めるのに、読み終わると妙な達成感が残ります。

きな粉はプロテインなのか……それとも、プロテインという概念が間違っているのか。
師匠は黙って飲めと言っています。

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