風神に潜伏し、神風を起こす!!

これは国家とサイバー戦争が常態化した世界で、名もないフリーターのハッカーが、たった一人の相棒の失踪をきっかけに“神話級の存在”である風神と対峙していく――本作はスケールの大きな設定と、きわめて個人的な感情を巧みに接続したサイバーサスペンスです。

世界観は重厚でありながら、物語の視点はあくまで「小物の個人」に固定されており、巨大な力に踏み込んでしまった者の恐怖と怒りが生々しく伝わってくる。とくに「特定された」という一文を境に、日常が一瞬で崩壊する流れは非常に印象的で、読者を一気に引き込む。

風神という“正義だが冷酷な存在”の描き方も魅力的で、単純な勧善懲悪に陥らず、現代的な権力と匿名性の危うさを浮かび上がらせています。

静かな部屋から始まった物語が、いつの間にか世界規模の闇に繋がっていたという構造が、強い中毒性を生んでおります。


ご一読を!!